研修・イベント

研修

実施報告

2019年度「女性関連施設相談員研修」

開催期間:2019年6月19日(水)~21日(金) / 定員:80名

開催場所:国立女性教育会館


事業内容

困難な状況に置かれている女性を支援する人材を対象とし、専門的知識・技能の向上を図るための研修を実施。

第1次申込開始(初めて参加される方)の募集を締め切りました。応募多数の為、第2次申込(過去に参加経験のある方のお申し込み)はありません。ご了承ください。

1.趣  旨

 女性関連施設の相談員を対象に、女性に対する暴力などの喫緊の課題解決を目指し、相談者への理解を深め、相談業務に必要な知識・技能を習得するとともに、関係機関との連携促進を図るための研修を行います。複雑・多様化する悩みに男女共同参画の視点から適切に対応できる相談員の育成と業務の質の向上を図るための専門的・実践的研修です。

2.主  催

 独立行政法人国立女性教育会館

3.会  場

 国立女性教育会館
 〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
 TEL 0493-62-6724
 FAX 0493-62-6720
 Eメールアドレス   progdiv@nwec.jp
 ホームページ URL https://www.nwec.jp

4.日  時

 2019年6月19日(水)~6月21日(金) 2泊3日

5.参 加 者

 (1)公私立の女性関連施設、相談機関等の相談員 80名
 (2)地方公共団体における関連施策担当者    10名
   (相談事業を統括する立場にある方)

6.日  程

(各プログラムの間に10~15分の休憩があります。)

7.内  容

第1日 6月19日(水)

(1)開会                            13:15~13:30
 主催者あいさつ 内海 房子 国立女性教育会館理事長       
 オリエンテーション

(2)ワーク1「ジェンダー視点を見つめなおす」          13:35~15:05
 アイスブレイクとして参加者同士の課題の共有を行った後、相談業務に携わる自身が持つ視点を振り返ります。ワークを通し自分を見つめなおすことで、相談員に必要なジェンダーに敏感な視点を養います。
 講師: 新堀由美子 男女共同参画センター横浜相談センター長

(3)基調講演「男女共同参画の視点に立った女性相談とは」     15:20~16:50
 男女共同参画の本質とその視点に立った相談業務のあり方について学びます。また、女性が直面する困難が社会構造と深く結びついていることや、各相談員が相談から見えてきたことを事業や施策につなげることの重要性について学びます。
 講師: 執行 照子 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会代表理事
           NPO法人フェミニストカウンセリング神戸理事

(4)情報交換会                         18:00~19:30
 立食形式で夕食をとりながら情報交換と参加者同士のネットワークづくりを行います。

第2日 6月20日(木)

(5)講義1「心理的回復支援のポイントとメンタルヘルス」     9:00~11:30
 前半は、DV被害者・性暴力被害者等の現状や心理的回復支援にあたっての留意点・相談技法について学びます。後半では、相談員自身のメンタルヘルスに関する知識を学びます。
 講師:竹下小夜子 さよウイメンズ・メンタルクリニック院長

(6)講義2「女性相談の実態と支援に関する法知識」        13:00~14:15
 DV、性暴力、離婚等をテーマに面会交流や保護命令等、相談員として知っておくべき法知識を学びます。
 講師:中野 麻美 りべるて・えがりて法律事務所

(7)ワーク2「ケース別支援のあり方~体験型習得~」       14:30~17:30
 前日のワークで気づいた点を踏まえ、具体的にどのような対応をしたらよいかについて、事例をもとにグループでロールプレイを実施します。男女共同参画の視点に立った相談を体感し、対応の基礎力を養います。
 講師:執行 照子 NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会代表理事
          NPO法人フェミニストカウンセリング神戸理事
    横山由佳子 NPO法人Safety First静岡代表理事
          NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会理事
    中川 浩子 NPO法人フェミニストカウンセリング学会理事、臨床心理士

●オプション・プログラム(自由参加)               19:00~20:00
 日頃のストレスを解消し、心身のリフレッシュを図ります。
 講師: 清水 理恵 ヨガインストラクター

第3日 6月21日(金)

(8)情報提供「警察における女性に対する暴力被害者支援の現状と方向性」
                                  9:00~9:20
 急増するDVやストーカー事案の特徴や相談件数の推移、被害者を支援するための対応や連携の仕方について、最新の情報を用いて解説します。
講師:石川 博昭 警察庁生活安全企画課課長補佐 

(9)ワーク3「相談事業の展開と連携」               9:30~11:30
 各機関における業務の流れや機能を押さえつつ、実際の連携についてケースごとに考えます。ワークを通じて、相談支援の流れを確認しつつ、各機関の機能の違いを把握し、展開の可能性を探ります。
講師:石本 宗子 社会福祉士
    
(10)まとめ                           11:40~12:00
 3日間で学んだ内容について振り返り、男女共同参画の視点に立った女性関連施設相談員としての意義と役割について再確認します。
   
(11)閉会                            12:00~12:10
 アンケート記入

8.申込方法・期限等

(1)方法
 申込みフォーム:2019年度「女性関連施設相談員研修」よりお申込みください。
※申込みフォームより送信ができない場合については、別紙参加者申込書に必要事項を記入の上、事業課宛てに郵送ください。送受信の行き違いや受信もれを防ぐため、FAX・Eメールは不可とさせていただきます。
※開催要項、参加申込書等の電子データや申込みフォームは、当ページ上部にございます。

(2)申込期間
 第1次申込開始(初めて参加される方)    2019年5月13日(月)
 第2次申込開始(過去に参加経験のある方)  2019年5月20日(月)
 申込締め切り日    2019年5月30日(木)午後5時必着(先着順)
 ※申込期間内でも定員に達した場合はお申込を締切らせていただきます。
 ※会館が主催する女性関連施設相談員向け研修に初めて参加される方及び現に業務に就いている方からのお申込を優先させていただきます。

(3)参加通知
 「参加申込書」記載の連絡先に、Eメールまたは文書にて発送します。
 6月5日(水)までに連絡がない場合は、お手数ですが事業課までお問い合わせください(電話:0493-62-6724 月曜~金曜の9時~17時)。

9.所要経費

(1)参加費    無料

(2)宿泊費    研修期間中は、1名1泊1,200円(前・後泊も同額で宿泊可)

(3)食費     朝食 バイキング     870 円
          昼食 カフェテリア形式  550 円~
          夕食 バイキング    1,080 円

(4)情報交換会費 3,500円(消費税込)6月19日(水)18:00~19:30
 夕食を兼ねた立食形式・貸切(食堂の通常営業は行いません。)
 ※宿泊費及び情報交換会費は当日受付で集金します。
 ※交通費・宿泊費・食費などの諸費用について、主催者からの支給はありません。

10.その他

(1)広報について
 期間中、職員が撮影した写真を、事業記録や広報に使用することがあります。あらかじめ御了承ください(参加者が特定されないよう、極力配慮いたします)。

(2)フォローアップ調査の実施について
 研修の一環として、研修終了6か月後を目途にフォローアップ調査を実施し
ます。皆様の実際の職務に、研修成果がどのように役立てられているかを伺い、今後当会館が実施する事業を充実させていくための参考とするものです。
御協力のほどよろしくお願いいたします。

※プログラムの一部について変更する場合があります。御了承ください。

◆「女性関連施設相談員研修」実施報告

 6月19日~21日の2泊3日の日程で、全国の公私立の女性関連施設、相談機関等の相談員及び相談業務を統括する立場にある地方公共団体における関連施策担当者を対象に、2019年度「女性関連施設相談員研修」を実施した。
 この研修は、女性関連施設等の相談員等を対象に、女性に対する暴力などの喫緊の課題解決を目 指し、相談者への理解を深め、相談業務に必要な知識・技能を習得するとともに、関係機関との連携促進を図ることを目的としたものである。複雑・多様化する悩みに男女共同参画の視点から適切に対応できる相談員の育成と業務の質の向上を図るための専門的・実践的研修とした。さらに、今年度は新たに行政の関連施策担当者を対象に加え、住民が抱える生きづらさ、貧困やドメスティックバイオレンス、セクシュアルハラスメント、ストーカーなどの様々な暴力を行政の施策へと繋げるための試みとした。
 初めての参加者を優先して申し込みを受け付けた結果、定員90名(相談員80名、関連施策担当者10名)を大幅に超える111名の申し込みがあり、最終的に96名(相談員86名、関連施策担当者10名)が参加した。

主催者挨拶を述べる内海房子国立女性教育会館理事長

第1日 6月19日(水)
(1)ワーク1「ジェンダー視点を見つめなおす」 

 研修の最初のプログラムとして、新堀由美子氏(男女共同参画センター横浜相談センター長)によるアイスブレイクなどのワークを通して参加者同士の心理的な垣根をなくすとともに、相談に向き合う相談員自身のジェンダー意識を見つめ、問い直すことにより課題の共有を行った。また、講義を通し、具体的にジェンダー視点とはについて解説を行った。参加者同士の緊張をほぐし、効果的な学びができた。参加者にとっては、周りの人たちと打ち解けると同時に、ワークを通して自分の中にあるジェンダー規範に改めて気付くよい機会となった。

(2)基調講演「男女共同参画の視点に立った女性相談とは」 

 執行照子氏(NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会代表理事)は、男女共同参画の視点、フェミニストカウンセリングの基本理念、社会状況や家庭における女性の役割の変化、配偶者間等において女性が受ける被害などについて、統計データや法律をもとに講演を行った。
 労働の場や家庭における女性の役割の変化としては、男性は仕事、女性は家庭という性別役割分担意識がまだ根強く残っていて、女性はケア役割と経済の補助役割の両方を求められている。
 自分の存在価値は他者評価によるため、自己主張が難しくなり、否定的自己像をもつなど、自分が何をしたいのかわからない「女らしさ」(ジェンダー)の病があることを解説した。
 さらに、男女共同参画の本質とその視点に立った相談業務のあり方女性が直面する困難が社会構造と深く結びついていることや、各相談員が相談から見えてきたことを事業や施策につなげることの重要性について講演を行った。
 参加者は、ジェンダーの視点に立って物事を考えてみることによって、相談の受け止め方が変わり、「女性の問題=社会の問題」という基本を再認識できる場となった。

(4)情報交換会   

 立食形式で夕食をとりながら日頃の相談業務について情報交換を行い、全国各地から集まった参加者同士がネットワークづくりを行った。最初のプログラムでアイスブレイクを経験した参加者は、最初から積極的に意見交換を行う様子が見られ、全国の取組などの情報を得るよい機会となった。

第2日 6月20日(木)

(5)講義1「心理的回復支援のポイントとメンタルヘルス」

 竹下小夜子氏(さよウイメンズ・メンタルクリニック院長)は、まず加害者や被害者、暴力をめぐる誤解とジェンダーのすり込みについて解説を行い、DVや虐待は、相手を思いやり尊重する気持ちがあるかどうかの問題であると述べた。また、心理的回復支援にあたっての留意点・相談技法として、被害者が他者との新たな結びつきを創り、損なわれ歪め荒れた心的能力を回復させていくことなどを挙げ、被害者自身が回復の主体であり決定者として、自分の行動をコントロールできるように支援することなど、具体的な被相談者への対応策が示された。
 相談員自身のメンタルヘルスとしては、相談員の困難さや二次受傷、バーンアウトの要因と予防と対策について講義を行った。
 最後に、虐待の連鎖は少数派であり、成長期によき友人、よき教師、よき本との出会いが大切であること、だれか一人でも本人の気持ちを受け止めようとするかどうかであることを強調した。

 講師の長年の経験と理論に基づく講義は非常に説得力があり、参加者は相談を受ける時に伝えるべき点や聞くべき点について学ぶことができた。

(6)講義2「女性相談の実態と支援に関する法知識」

 中野 麻美氏(弁護士・りべるて・えがりて法律事務所)は、まず、憲法と法による支配と平和と安全の負託という社会の合意により、政府は市民の安全・人権を守り育てることは、政府が市民から付託された責任であるとした。そして、性役割・家父長性を下敷きにしたリベラリズムと公私二分論や、構造化された性役割、私的自治の原則などについて解説を行った。
 さらに、暴力が起こるメカニズムや女性に対する暴力とは何かについて、条約、法律などを用いて解説するとともに、職場や家庭等における保護命令申し立て等の具体的な手続きについて講義を行った。
 性暴力は、女性自身に過失や原因があるのではなく、両性間の権力関係に起因する社会的に構造化された暴力であり、「政治的」である。女性に対する暴力の多様な携帯に対応するためには、それぞれのケースに沿ったきめ細やかな異なる対応が求められるとの説明を行った。
 参加者は、必要性を感じながらも、日頃なかなか触れることのない様々な条約や法律について、専門的な知識を得る貴重な機会となった。

(7)ワーク2「ケース別支援のあり方~体験型習得~」  

 前日のワークで気づいた点を踏まえ、実際に男女共同参画の視点に立った相談を体感し、対応の基礎力を養うことを目的として実施した。
 参加者全員が6つの会場に分かれ、さらに各会場において3人グループに分かれ、交互に相談者役・相談員役、観察者役を務め、実際に3つの事例についてロールプレイを行った。グループで1回のロールプレイが終了する度に振返りを行い、気づきを共有した。
 最後に、参加者全員に対し、3つの事例を作成した執行照子氏、横山由佳子氏、中川浩子氏(NPO法人フェミニストカウンセリング学会理事)が解説を行った。相談員は見立て・方針をもって相談を行うこと、相談者に合った相談をオーダーメイドで行うこと、相談者が今までの生き方を見直す分岐点・成長のポイントであること、本人や周囲からも見えない暴力の影響があること、相談員に関心を持って聞くことが重要であるとの説明があった。

(8)オプション・プログラム(自由参加) 

 清水 理恵氏(ヨガインストラクター)の指導のもと、業務の合間にもできる椅子を使ったヨガを体験した。会場の宿泊棟1階ラウンジでは、ゆるやかな音楽が流れる中、参加者同士助け合いながら、ゆっくりと手足を動かしたり、ストレッチ運動などを行った。講師からは、自分の体と会話して無理をしないことが大事であるとの説明があり、参加者は、自分を大事にすることが他者を大事にすることにつながることを体感する貴重な機会となった。

第3日 6月21日(金)

(9)情報提供「警察における女性に対する暴力被害者支援の現状と方向性」 

 大内 剛氏(警察庁生活安全企画課)は、急増するDVやストーカー事案の特徴や相談件数の推移と警察による被害者を支援するための危険性の判断や対応の流れについて説明を行った。さらに、被害者の安全確保のために、関係機関との連携が必要であり、特にそれぞれの任務や役割、体制、予算等の相互理解の必要性や顔の見える関係の構築が重要であるとした。

(10)ワーク3「相談事業の展開と連携」  

 石本 宗子氏(社会福祉士)は、まず、ワークを通して、参加者が実際にDV事案を受けた場合に連絡する機関として、①安全確保、②生活再建、③心身の回復、④離婚手続きについて、DV被害者の支援全体の組み立てと社会資源である具体的な機関について検討した。続いて、主な支援機関・関係団体と必要な手続きについて、それぞれ解説を行った。最後に、参加者各自で事例に沿って状況を改善する資源の活用について検討を行い、グループで共有した。
 参加者は、具体的なワークを通して必要な情報とは何か、また、新たなネットワークの作り方について学ぶ時間となった。

(11)まとめ  

 講師の石本 宗子氏は、参加者を6人のグループに分け、各自で3日間の研修を振り返るとともに、グループ内で振り返りを共有し、褒め合うワークを行った。その結果、参加者がエンパワーされると同時に、相談者をエンパワーさせることの重要性や方法を知るよい機会となった。
 参加者は、石本氏から相談員自身が社会資源という言葉をもらい、自分自身がエンパワーされる機会となった。「相手をほめるということは簡単そうで難しいことだと実感した。相談者の良い点を多く見つけ、自信につなげるように実力をつけていきたい」との感想が寄せられた。


 終了後のアンケートには、「講師の方々の講義は、現場を数々経験されたことからくる活きた話で、本当に勉強となった。また各地の方々との交流も今までにない場で充実した3日間となった」「日々、相談の内容が複雑化している。自分の中での解消もできないことが多く、ストレスが溜まる。同業の方たちとの交流はとても力になる」などの感想が寄せられた。

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