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実施報告

平成30年度「学校における男女共同参画研修」

開催期間:平成30年11月29日(木)~30日(金)1泊2日 / 定員:30名

開催場所:国立女性教育会館


男女共同参画の基本理念について整理するとともに、学校現場や家庭が直面する現代的課題について、男女共同参画の視点から捉え、理解を深める研修を実施。

申込みを締切りました。多数のお申込みありがとうございました。

1.趣  旨

 初等中等教育諸学校の学校現場に存在する男女共同参画課題を把握し、それらにどのように対応したらよいのかを実践的に学ぶとともに、教職員自身のキャリア形成や働き方改革及び女性管理職の育成について、男女共同参画の視点から捉えて理解を深めます。

2.主  催

独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)

3.後  援

文部科学省
独立行政法人教職員支援機構(NITS)

4.会  場

国立女性教育会館
埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
TEL:0493-62-6724・6725

5.期  日

平成30年11月29日(木)~11月30日(金) 1泊2日

6.対 象 者

(1)教育委員会職員
(2)教職員研修センター等の職員
(3)初等中等教育諸学校の管理職・教職員

7.定  員

30名

8.日  程

9.内  容

第1日 11月29日(木)

(1)開会                                13:00~13:15
主催者あいさつ:内海 房子 国立女性教育会館理事長              
    
(2)講義「学校現場における男女共同参画課題とは-男女共同参画の視点を身に付ける-」
                                     13:15~14:15
 男女共同参画の推進は何故必要なのでしょうか。その基本理念を改めて整理するとともに、日本の男女共同参画がどのくらい進んでいるのかについて国内外のデータを用いて客観的に把握します。また、学校現場が直面する現代的課題を把握しつつ、教育における男女平等の重要性について解説します。
      講 師:村松 泰子 公益財団法人日本女性学習財団理事長
                東京学芸大学前学長・名誉教授

(3)情報提供「教職員の働き方改革」                   14:25~14:55
 現在、教員の長時間労働は学校現場の大きな課題となっており、この解決に向けた方策について検討が進められています。文部科学省の最新の動向について説明を受け、今後の方向性について理解を深めます。 
      講 師:弓岡 美菜 文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課専門官 
                (併)教育公務員係長 

(4)講義・事例報告・ディスカッション
   「女性教員の活躍推進と男女共同参画の職場づくりについて考える」             
【第1部】講義・事例報告                         15:05~16:15 

【第2部】ディスカッション                        16:25~17:30
 小学校・中学校・高等学校のいずれにおいても、教職員全体に占める女性の割合に比べて管理職に占める女性の割合は低い現状にあります。この問題の背景や要因について、国立女性教育会館が全国3,000校の公立小中学校教員を対象として平成29年度に実施した調査の結果を報告するとともに、女性活躍推進に向けた教育委員会の取組事例を紹介します。ディスカッションでは、教職員に根強く残る無意識の偏見、教職員自身の働き方などについて意見や情報を共有しつつ、女性管理職育成や業務改善を含む組織マネジメントについて考え、改善・充実の方向性を探ります。
      講 師:飯島 絵理 国立女性教育会館研究国際室研究員
      報告者:大坪一才恵 岐阜県教育委員会事務局教職員課女性教職員活躍推進監
      ファシリテーター:上田 芳子 国立女性教育会館事業課専門職員
 
◇チェックイン                              17:30~18:30

(5) 情報交換会                              18:30~20:00
 立食形式で夕食をとりながら情報交換と参加者同士のネットワークづくりを行います。途中、意見交換のきっかけづくりとして、母親や父親が抱える問題や、これからの時代のキャリア形成の在り方など、NWECで実施する様々な研修から見えてきた、子供たちをとりまく男女共同参画課題についての情報提供を行います。
      情報提供:小笠原泰代 国立女性教育会館事業課専門職員

第2日 11月30日(金)

≪会場を嵐山町立菅谷小学校に移動≫(9:00)

(6)授業参観・解説「みんな違ってみんないい~Iメッセージ~」
【第1部】授業参観                             9:35~10:20

【第2部】解説・グループワーク                      10:40~12:00
 人権感覚を身につけるためには、「多様性」を恐れないことと、「自分と異なるものを受け入れていく」姿勢が重要です。ここでは、教室に移動し、実際の児童を対象に、アクティブラーニングの手法を用いた多様性を認め合えるワーク(体験学習)の授業を参観します。
また、参観後の解説では、この授業が目的とするダイバーシティ(多様性)意識醸成の大切さについて学ぶとともに、教職員自身にある無意識の偏見を探り、性別にとらわれない児童生徒一人一人がもつ個性や能力に応じた指導の在り方と、男女共同参画の基礎となる多様性のある社会と人権の尊重について考えます。
      講 師:髙﨑 恵 オフィスピュア 男女共同参画政策アドバイザー 
               ワークショップデザイナー
 
≪NWECへ移動≫

◇昼食                                  12:15~13:30

(7)事例報告「性の多様性にどう対応するか」               13:30~14:40
 性同一性障害や性的指向・性自認に係るいわゆる「性的マイノリティ」とされる児童生徒に対しては、教職員の適切な理解の促進と、その心情等に十分配慮したきめ細かな対応が必要です。
先進的な事例として、千葉県柏市が進めている市内全職員を対象に実施したⅬGBT研修の内容や“ジェンダーレス制服”導入の過程と取組について情報共有します。
      報告者:中光 理惠 千葉県柏市立西原小学校教頭
          宮武 孝之 千葉県柏市立酒井根中学校校長

(8)グループディスカッション・全体の振り返り              14:50~16:30
 二日間で学んだ内容について振り返り、自身の考えや意識の変容、見えてきた課題などについて共有します。また、課題対応のあり方について協議し、明日からの実践的取組について具体的に考えます。
      ファシリテーター:丹羽 麻子 国立女性教育会館事業課専門職員

(9)閉会・アンケート記入                        16:30~16:45

10.所要経費(金額はすべて消費税込み)

(1)研修参加費 無料
(2)宿泊費  研修期間中は1泊1人あたり1,200円(前後泊も同様)
(3)情報交換会費   3,500円【希望者のみ】
(4)食費   朝食バイキング870円 
        昼食カフェテリア形式550円~800円
        夕食バイキング1,080円

11.申込方法

(1)方  法  
別紙「参加申込書」に必要事項を記入し、以下のメールアドレスに送信ください(参加申込書は以下よりダウンロードできます)。
メールアドレス:progdiv@nwec.jp
(2)申込期限   平成30年11月22日(木)17時
(3)参加決定通知  
参加申込書記載の連絡先に電子メールまたは文書にて発送します。
11月26日(月)までに連絡がない場合には、お手数ですが事業課(Tel:0493-62-6724・6725もしくはメール:progdiv@nwec.jp)にお問い合わせください。

12.その他

期間中、職員が撮影した写真を、事業記録や広報のために使用することがあります。
あらかじめ御了承ください。

平成30年度「学校における男女共同参画研修」実施報告

 平成30年11月29日(木)〜30日(金)の1泊2日で初等中等教育諸学校の管理職・教職員、教職員研修センター等を対象とした研修を行った。男女共同参画の基本理念について整理するとともに、学校現場や家庭及び教職員自身が直面する現代的課題を男女共同参画の視点から捉え、理解を深めることを目的とするプログラムで、全国から41名の参加を得た。
 開会あいさつとして内海房子NWEC理事長より、「初等中等教育学校では、様々な要請が高度化・複雑化される中、これからの社会を担っていく子供たちを育て、その能力を伸ばしていくこと、そして先生方自身のワーク・ライフ・バランスを考える上でも、「男女共同参画」の視点はとても大切となる。本研修を通じ、「男女共同参画」の基本を理解していただくとともに、自身の働き方や子供たちとの接し方について振り返り、学校現場の背景に横たわる社会問題を俯瞰し、様々な問題を解決する一歩にしてほしい。」とのメッセージが送られた。

 初めに、日本女性学習財団の村松泰子理事長により「学校現場における男女共同参画課題とは~男女共同参画の視点を身に付ける~」の講義を行った。まず、日本は国内にいると徐々に改善しているように感じられる男女の格差について、ジェンダーギャップ指数を紹介した。その改善度が144か国中141位であることを挙げ、生物学的や身体的な性差ではなく、社会的文化的に作られて日々再生産されているものが「ジェンダー」という、言わゆる「男らしさ」「女らしさ」であり、時代や文化によって変わり得るものである。この「ジェンダー」は広く社会全体に根強く組み込まれており、抜け出すことが難しくなっている。それを教育の中でどのように解決していくかが課題となっている。一人一人に個性があり、多様性があり、その多様性を尊重してく男女共同参画社会を形成するうえで、「男は外、女は内」という固定的性別役割分業は根強く残る問題であり、このままでは急激に少子高齢化が進行していくこれからの日本社会を支えてはいけないと話された。そして、この固定的性別役割分業意識が学校の中で再生産されていないかと問いかけた。例えば、教えようと思っていなくても教師の言動や状況から子供は学習しているという「隠れたカリキュラム」、それによって個人の潜在的能力を阻んでしまうことがあると解説。また、教員自身の働き方の実態が、子供たちにも影響してしまうことからも、学校現場における男女共同参画の必要性を認識してほしいと伝えた。
 男女共同参画社会の実現に学校教育が根源的な力を持っていること、男女平等に教えることの重要性を改めて確認した。

 続いて、文部科学省より「教職員の働き方改革」についての情報提供が行われた。
 学校の多忙化の背景として、教職員の勤務実態調査からの分析結果、その勤務時間に影響を及ぼす学校の取組、他国と日本の学校の在り方の違い、中央教育審議会におけるこれまでの経緯、課題と展望など発表されている内容を中心に説明がなされた。
 続く「女性教員の活躍推進と男女共同参画野職場づくりについて考える」では、第1部としてNWECの飯島研究員による調査結果と、岐阜県の女性教職員活躍推進監としての取組事例紹介を行った。まず飯島研究員が、調査結果の解説を行った。調査結果(下記リンクを参照)によると、教員は仕事へのやりがいを感じている(満足している)。また、実際に管理職になった人によると、管理職になってよかったと感じている。しかし、残業や土日に出勤して仕事をしている教員も多く、慢性的に疲れを感じており、男女ともに仕事量が多いにも関わらず、家事育児の役割を担っているのは、ほとんどが女性であることがわかった。管理職を登用する側も、女性管理職が増えるよう考慮してはいるが、家事育児を担っている教員に管理職を勧めにくいと答えている。これらの調査結果を踏まえると、教員自身の生活時間の確保と家庭と仕事を両立できる環境整備(ワーク・ライフ・バランス)、固定的性別役割分担意識の解消(管理職を進めても断るような状況の背後をしっかり考える)、キャリア形成の初期段階からマネジメントの魅力を伝えていく研修機会がとても重要となるのではないか。また、子供にとってのロールモデルの提示や、地域における意思決定ポジションへの女性の参画の視点からも、女性管理職を増やす必要性があると解説した。次に岐阜県教育委員会の女性教職員活躍推進監である大坪一才恵さんより、「女性教員の活躍推進と男女共同参画の職場づくりについて考える」をテーマに取組の報告があった。平成28年4月岐阜県教育委員会子育て支援行動計画がたてられ4つの柱の中の4番目「女性の活躍の推進」として女性教職員活躍推進監が設置されたこと。具体的には女性だけでなく誰もが働きやすい職場環境づくりや、女性管理職登用に取組んでいる。また、多忙化を解消し、若手教員をリーダー的ポストへ積極的に起用することを通じて、教員自身の力量を上げるとともに余裕ある職場環境の中で意欲を育んでほしいと伝えた。女性がポジティブアクションの一つとして、また自身もロールモデルとして今の立場で様々な会議に出席しこれからの女性の教職員に対してのエールを送る一つとなればと現在の職で活躍されているとのことだった。
 第2部では「女性管理職を増やすにはどうしたらよいか」をテーマに、参加者同士でディスカッションを行った。管理職には多忙感によるマイナスイメージがあるのが現状であり、働き方改革とともに変えていく必要があり、管理職自身が仕事を楽しめる環境を作ることが必要だと、参加者の話し合いの中から提案された。また、女性は管理職に向いていないのではなく慣れていないだけであり、若い時からキャリアプランを意識させる仕組みができるとよいのでは、そして、トップリーダーに女性がいるという「見える化」で世の中の意識が変わるため、ロールモデルが必要であるとの意見も出てきた。

 2日目は、菅谷小学校の体育館に会場を移し、オフィスピュア男女共同参画アドバイザーの髙﨑恵さんにより、小学4年生を対象に「多様性」を恐れないこと「自分と異なるものを受け入れていくこと」の授業が展開された。活動する中から、「あなたは〇〇よ」「やめてよ」「おかしいよ」と相手に求める発言『YOUメッセージ』が多くなってしまい、ついちくちくした攻撃的な言葉になってしまうこと、「私は○○だから、こうしてほしい」「こう思うからよくないよ」など『Iメッセージ』で私の思いを相手に伝えることがとても大切なのだということを学んだ。

 続いて、多目的室に移動し、子供たちの行ったアクティブラーニングの解説を受けた。そして、池田智恵子校長先生より「会場を提供し、NWECと連携し授業を実施することができうれしく思う」とご挨拶をいただいた。
 最初に全員に真をつぶってもらい、講師が各人の背中にシールを貼り、話をしないでグループを作るワークを行った。ここでは、色でグループを作ったが他にも共通する「シール」「まるい」というものに目を向けてもグループは作ることができるのに、「色」という一点に注目してしまうと、他を受け入れられないということの気づきを学んだ。また、言葉だけではなく、様々なコミュニケーションの手段があることも学んだ。続く講義では、性別は個性の一つにすぎないこと「同調圧力」というものを無意識のうちに子供たちに押し付けていたことを認識できる時間となった。

 2日目午後は、「性の多様性にどう対応するか」というテーマで、千葉県柏市の取り組みについて、酒井根中学校の宮武孝之校長と西原小学校の中光理惠教頭より事例報告を行った。柏市ではいじめ防止基本方針を改定するにあたり、教員一人一人が性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒への理解の大切さを取り入れ取り組んできたとのこと。SOSを出している子にどのように対応するか、教育委員会と連携してビデオ作成・授業展開、相談できるアプリの導入など様々な取り組みについて紹介された。また、実際に性同一性障害に悩んでいる生徒と向き合い、保護者と子供とどのように乗り越えてきたかについての報告も行われた。

研修の最後には、まとめとして2日間の気づきや研修で得たことから実践してみたいことを中心にグループでディスカッションを行った。

 参加者からのアンケートでは、研修全体の満足度100%(非常に満足63.3%、満足36.7%)となり充実した2日間だったことがうかがえる。授業参観の満足度も高く、実際に授業を通して学ぶことができてよかったとの声も多くあった。また、「私たち管理職がその職務の楽しさややりがいを発信・女性人材育成のための研修の必要性・視点を生かしていく意識改革の大切さを感じた。気づかず看過してきたことが、女性の参画を阻み繰り返すことを学んだ。国際社会に遅れをとらぬよう学校現場から改善していきたい。」「女性管理職が日本では少ない現状について、私自身も「家庭との両立が難しいから仕方がない」「男性の方が登用されやすくてあたり前」と思い込んできたのだと認識した。無意識に根付いているジェンダーが思考に大きく影響することが恐ろしい。「見ようと努力すること」を今後、大事にしていきたい。」「教育現場で生かせる研修だった。持ち帰り、伝達できるようにしたい。」などの感想が寄せられた。
 本研修を通じ、参加者は「男女共同参画」の基本についての理解を深めるとともに、自身の働き方や子供たちとの接し方について振り返り、学校現場の背景に横たわる社会問題を俯瞰し、様々な問題を解決するヒントを得たのではないかと考える。
今回の研修をもとに、来年度開催(11月21日(木)22日(金))に向けて、子供たちの能力を伸ばすため、また、教員自身のワーク・ライフ・バランスを考える上での「男女共同参画意識」の大切さについて伝わるような内容を検討していきたい。

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