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実施報告

平成29年度「学習オーガナイザー養成研修」

開催期間:平成30年1月18日(木)~20日(土) / 定員:30名

開催場所:国立女性教育会館 /


男女共同参画の基本理念や取組の意義、社会状況について整理するとともに、学習方法や評価など、事業企画・運営に関する実務を学ぶ研修を実施。

定員に達したため、申込を締め切りました。多数のお申込みありがとうございました。

1.趣旨

 国立女性教育会館では、「男女共同参画の視点に立った地域づくり」をテーマに体系的な学習プログラムを効果的に実践・展開できる人材を育成する「学習オーガナイザー」を養成する研修を開催します。
 男女共同参画の基本理念や取組の意義、社会状況や現代的課題について把握し、個人の課題と社会的課題のつながりについて整理するとともに、学習方法や評価など、事業運営に関する実務的な学びの機会を提供することで、経験者の知見・技能の向上と人材養成をもって男女共同参画の推進を図ります。

2.目的

(1)男女共同参画の基点・基軸の形成
(2)学習をオーガナイズする企画力・実践力の形成
(3)地域における社会参画を推進する人の育成

3.主催

独立行政法人国立女性教育会館

4.会場

国立女性教育会館
〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
TEL 0493-62-6724・6725
FAX 0493-62-6720

5.期日

平成30年1月18日(木)~1月20日(土)2泊3日

6.対象及び定員

女性関連施設、公民館、行政、大学、NPOなどで、研修・学習事業、女性のキャリア開発、女性の活躍推進・地域づくりに係る事業等の企画・実施経験を有する方 30名
*現に業務に就いている方、初めて参加される方を優先します。

7.日程・内容

(各プログラムの間に10~15分の休憩が入ります)

第1日 1月18日(木)

(1)開会                              13:00~13:45
 ①主催者あいさつ
 ②オリエンテーション
  日程及び趣旨説明、参加者同士の自己紹介       

(2)講義「プログラムデザインの意義と役割」             13:50~14:30
 学習プログラムの設計図となる「プログラムデザイン」作成の目的・意義とその重要性について、学習の「見える化」の視点から理解を深めます。
 講 師:櫻田今日子 国立女性教育会館事業課長

(3)講義「男女共同参画の基礎的理解を深めるために
      ~個人的課題から社会的課題、そして課題解決へ~」     14:40~15:40
 男女共同参画社会基本法の理解、視点の必要性、個人的課題と社会的課題のつながりについて理解を深めます。また、男女共同参画の歴史的経緯や、個としての女性と社会との関係などを踏まえ、男女共同参画の今日的な理解について講義を行います。
 講 師:神田 道子 東洋大学名誉教授、国立女性教育会館事業課客員研究員

(4)講義・グループワーク「統計から考える男女共同参画の現状」    15:50~17:00
 男女共同参画社会基本法の5つの柱をもとに、人権、意思決定の参画、職業と他の活動の両立、性別役割分業、国際的協調などを、統計データから日本の男女共同参画の現状と課題を深掘りし、読み解きます。地域の実状を知るための基礎としての統計の見方を学びます。
 講 師:中野 洋恵 国立女性教育会館研究国際室長

(5)グループワーク「課題の共有と整理」               19:00~20:30
 プログラムの対象となる学習者の地域に取り巻く個人的課題、その背景に見えてくる社会的課題を探り、共有します。その中で、地域における喫緊の課題は何かを考えていきます。
 ファシリテーター:引間 紀江 国立女性教育会館事業課専門職員

第2日 1月19日(金)

(6)実践研究「地域づくりとキャリア開発を結びつける」        9:00~10:10
 職業や社会活動をとおしてキャリア開発を進められた実践報告をもとに、その共通要因やポイントについて把握します。また、キャリア開発を進めていくうえで、社会参画へと結びつけていくことを考えます。
 報告者:大田 茂子 千葉県白井市桜台センター長  
     山本美千代 熊本県菊池市中央公民館長
 コメンテーター:亀田 温子 十文字学園女子大学名誉教授、日本女性学習財団理事

(7)講義「協働型学習の理論・方法について」             10:30~12:00
 協働型学習(グループワーク)を単なる「意見交換の場」にとどめずに、その場の学びをどう振り返り意味づけするか、その意味づけの中から実践につながる「気づき」を得ることの重要性について、社会教育の視点から考えます。
 講 師:笹井 宏益 玉川大学学術研究所教授

                 <昼食休憩12:00~13:15>

(8)講義「男女共同参画の視点に立った事業企画を考える」       13:15~14:00
 学習プログラムを企画する上での現状把握、実施、評価までのPDCAサイクルに基づく運営について、注意点を解説します。また、プログラム開発実施の位置を探ります。
 講 師:松下 光恵 NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事

(9)グループワーク「地域に即した課題解決プログラムをつくる」①   14:15~17:00
 課題解決に向けての意識開発と実践活動につながる学習プログラムデザインを、実際に企画・作成します。
 ファシリテーター:西山恵美子 国立女性教育会館事業課客員研究員
 学習支援:平成29年度「学習オーガナイザー養成研修」企画委員
      国立女性教育会館事業課専門職員

(10)情報交換会                           18:30~19:30
 全国からの参加者同士のネットワークづくりを図り、交流を深めます。

第3日 1月20日(土)

(11)グループワーク「地域に即した課題解決プログラムをつくる」②   9:00~10:45
 課題解決に向けての意識開発と実践活動につながる学習プログラムデザインを、実際に企画・作成します。
 ファシリテーター:西山恵美子 国立女性教育会館事業課客員研究員
 学習支援:平成29年度「学習オーガナイザー養成研修」企画委員
      国立女性教育会館事業課専門職員

(12)まとめと成果の共有                       10:45~11:30
 作成したプログラムデザイン案の発表により成果を共有するとともに、出来上がったプログラムを検証します。
 コメンテーター:平成29年度「学習オーガナイザー養成研修」企画委員

(13)まとめ「学習オーガナイザーの役割を学ぶ」            11:40~11:55
 3日間の研修を通して学習したことや作成したプログラムデザインについて振り返り、学習オーガナイザーの役割について再確認します。
 講 師:櫻田今日子 国立女性教育会館事業課長

(14)振り返り・閉会                         11:55~12:15

8.申込手続

定員に達したため、申込を締め切りました。多数のお申込みありがとうございました。

(1)別紙「参加申込書」に必要事項を入力または記入の上、郵送または電子メール(progdiv@nwec.jp)のいずれかの方法で、国立女性教育会館までお送りください。
*送受信の行き違いや受信もれを防ぐため、申込受付は郵送または電子メールのみ(FAXは不可)とさせていただきます。

(2)申込期限:平成29年12月25日(月)(先着順)
*申込期間内でも、定員に達した場合は申込を締め切ります。

(3)参加のお知らせ
ご本人宛に電子メールまたは郵送にて、12月上旬より順次お知らせします。
*平成30年1月10日(水)までに通知が届かない場合、事業課(電話:0493-62-6724)までお問い合わせください。

9.所要経費

(1)参加費:無料
(2)宿泊費:研修期間中は、1名1泊あたり1,200円
   *1/17(水)及び1/20(土)も、1泊1,200円で宿泊可能です。
(3)情報交換会費:3,500円(立食形式、希望者のみ)
(4)食費:朝食 バイキング 870 円
      昼食 カフェテリア形式 550 円~800 円程度
      夕食 バイキング 1,080 円
(金額はすべて消費税込み)

10.平成29年度「学習オーガナイザー養成研修」企画委員

・亀田 温子  十文字学園女子大学名誉教授、日本女性学習財団理事
・神田 道子  東洋大学名誉教授、国立女性教育会館事業課客員研究員
・西山恵美子  国立女性教育会館事業課客員研究員
・松下 光恵  NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事
(五十音順、敬称略)

11.その他

研修期間中に職員が撮影した写真を事業記録や広報のために使用することがあります。あらかじめ御了承ください。

平成29年度「学習オーガナイザー養成研修」実施報告

1月18日(木)~20日(土)、「学習オーガナイザー養成研修」を実施し、全国各地の女性関連施設や自治体で男女共同参画研修を企画・実施する方を中心に38名の参加を得た。
男女共同参画の基本理念から社会状況や課題把握から社会的課題と個人的課題の結びつきや社会的土台作りの大切さなどをふまえ、男女共同参画の視点に立った地域づくりのための人材育成と事業を実施するために必要な理論と実践を学んだ3日間となった。

<第1日目>

(1)開会
開会にあたり、内海房子(NWEC理事長)は、男女共同参画社会の推進のため、過去の研修をもとに今年度は地域の人々が直面する課題から社会の在り方を考え、新しい地域の土台づくりを進める実践的な力を養うプログラム構成となっていることを参加者に伝えた。

(2)講義「プログラムデザインの意義と役割」
「学習オーガナイザー」とはなにか。この研修の特徴を踏まえ、櫻田今日子(NWEC事業課長)が解説と説明を行った。「プログラムデザイン」は、いわば学習プログラム(企画の中核を示す)設計図。企画の「見える化」により、ブレのない事業運営が可能になること、個人的課題の解決が社会全体の課題解決へのアプローチにつながること、育成された男女共同参画推進人材が地域の新たなシステムづくりに取り組んでいくことについて述べ、「学習オーガナイザー」の今後の活躍の可能性を示した。その後、自己紹介や参加動機を話しながら、アイスブレイクを行った。

(3)講義「男女共同参画の基礎的理解を深めるために~個人的課題から社会的課題、そして課題解決へ~」
神田道子氏(東洋大学名誉教授、NWEC事業課客員研究員)による講義では、男女共同参画の視点形成が、男女共同参画を推進する意識、行動の核となるとの話から始まった。個人の抱える課題と社会の方向性を結びつける視点の重要性や、位置と役割を持った社会活動として経験からの学習が重要であると指摘。女性の「社会参加」時代から「男女共同参画」時代へ、すなわち固定的性別役割分業から政策や方針に平等に参画する社会へと変化するプロセスをふまえ、男女共同参画基本法の基本理念と特徴について解説した。さらに社会の共通基盤を作るためには、自他の尊重、経済的自立性、固定的役割「分業」から「共業」へ、どのように役割分担と協働をすすめるかなど、今後の男女共同参画推進に向けての重要なポイントを展望した。

(4)講義・グループワーク「統計から考える男女共同参画の現状」
中野洋恵(NWEC研究国際室長)による男女共同参画に関する国内外の統計データ解説を踏まえ、固定的性別役割分業意識に関する統計データから読み取った社会状況や課題と今後の対応について何が求められるか、グループ討議を行った。中野は、統計データにより、日本と世界の状況の違いや共通点などの空間的な把握が可能になるほか、経年変化など時間軸での把握と予測が可能になること、これにより学習者のニーズや課題が明らかになるほか、説得のためのツールとしても活用できる、と統計データ活用の重要性について指摘した。

(5)グループワーク「課題の共有と整理」
プログラムデザインを作成する前段階としての、地域における男女共同参画課題の洗い出しを目的とたグループワークである。進行の引間紀江(NWEC事業課専門職員)から、問題(困ったこと、ボヤキ)こそ社会的課題発見の糸口であることについて解説。今気になっているキーワードをもとにグループに分かれ課題意識を共有した。

グループワークの様子1

グループワークの様子2

<第2日目>

(6)実践研究「男女共同参画の視点を持った地域づくりとキャリア開発を結びつける」
前半は、亀田温子氏(十文字学園女子大学名誉教授、日本女性学習財団理事)の進行のもと、過去の研修参加者である大田茂子氏(千葉県白井市桜台センター長)、山本美千代氏(熊本県菊池市中央公民館長)が、自身のキャリアについて報告。両者とも、過去に本研修に参加した際に、社会的課題を解決するためには「役割」を果たすだけでなく「位置」を得ることも重要であることを学び、昇進の機会があった際には生涯学習センター長や公民館長などの役職を得ている。社会教育事業の広がり・「学習」「活動」そして「位置と役割」獲得による参画が個人の課題・社会の課題・そして課題解決につながることを確認した。後半は報告を踏まえ、個人のキャリア開発が男女共同参画の視点をもって地域の土台づくりにどのようにつながっているかをグループワークで整理。登壇者からのコメントとして、社会的土台をつくるにはまず組織の意識を変えることが不可欠であり、そのうえで個人と社会(地域)の方向性を結びつけることが大切であること、トップとしての姿勢、他者との協働においての「受援力」も必要などのアドバイスが寄せられた。

亀田温子氏による進行

山本美千代氏(左)、大田茂子氏(右)による報告

グループワークの様子

(7)講義「協働型学習の理論・方法について」
笹井宏益氏(玉川大学学術研究所教授)による講義では、社会教育の視点からの学習理論や歴史的背景を学んだ。特に大人の学習活動においては、経験や実践をもとに相互に人と関わり合い、違いや共通点を発見し物事を多様な側面から総合的に捉え、自分なりに意味づけをしていくことが重要であると指摘。さらに「学び」に対する社会的要請として、知識や技術を得る学習「Learning to have」から、意識や行動を変える学習「Learning to be」が求められていることを伝えた。また、人と関わり合うことが、自分や社会を高める意識や行動の変容に結び付くことを説明した。

(8)講義「男女共同参画の視点に立った事業企画を考える」
松下光恵氏(NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事)より、現状・ニーズの把握(数える・比べる・尋ねる・探す)から対象の絞り込み、計画から評価まで、企画のポイントについて講義。男女共同参画を進めるためには段階的なターゲットを念頭においた事業企画とその改善・進化に向けた他機関や社会的資源との連携・常に位置や目的の確認をすることが必要と指摘。また、市民の声より「地域の中のすそ野を広げる」をテーマにした展開例を紹介。座学だけではなく、チームを編成し地域調査・先行事例研究をしていく中で、中山間地にバスを走らせるまでに至り、男女共同参画の視点をもち、社会的土台を確立することで地域が変わった事例であった。自分たちの地域を見つめ課題解決をしていくには、様々なアプローチ方法があることを紹介した。

(9)グループワーク「地域に即した課題解決プログラムをつくる」①
①男女共同参画の視点の形成、意識の醸成②若い世代の新たな家庭づくり③意思決定の場への参画④シニア層の地域参画⑤育児、介護、家庭と生活・仕事との両立の5テーマ8グループに分かれ、「プログラムデザイン」作成をスタートした。ファシリテーターの西山氏から示された、「役割意識を持つ」「時間を意識する」「差違ではなく共通部分に目を向ける」「合意形成に向けて話し合いの拡散と収縮を上手に使い分ける」などの留意点を踏まえ、完成を目指した。それぞれのグループでは、研修での学びと参加者自身の経験や知見をフル活用し、地域の男女共同参画課題の本質はどこにあるか、課題解決にむかう人材育成を行う切り口は何かなど、活発に意見を交わしながら作業を進めていた。

プログラムデザインづくりの様子1

プログラムデザインづくりの様子2

(10)情報交換会(希望者のみ参加)
夕食を兼ねての情報交換会には、会館職員も参加。お互いの名刺交換をきっかけに日頃の疑問や各センターの事業の宣伝など情報交換が活発に行われ、和やかな中にも熱気あふれる様子がうかがえた。

<第3日目>

(11)(12)グループワーク「地域に即した課題解決プログラムをつくる」②・まとめと成果の共有  
現段階でのプログラム内容や作業の進捗状況を班ごとに報告し、他の班からプログラムのよい点・改善点についてフィードバックを受ける。「本当にこのプログラムは実現可能なのか?『やってみたい/採用してみたい』と思う/思われる企画になっているか?」キーワードが書き込まれた付箋を目の前に、さらなるブラッシュアップをはかる。デザインしたプログラムの中身はもちろん、作業を進めるなかでのアイデア出しや合意形成のプロセスなど、共同作業ならではの学びが多いワークショップとなった。

ワークの途中で作成中の研修プログラムについての中間発表を行った。企画委員からは、「地域課題解決の視点をきっちりと入れ込むことが大切」「ニーズが把握しきれていない」「ターゲットの絞り込みが甘い」など厳しい助言が出され、それらを踏まえて改善がなされ、プログラムが完成した。

中間発表の様子

プログラムデザインの再検討の様子 

企画委員によるコメント

グループごとに、作成したプログラムデザインの最終発表を行った。各企画委員からのコメントでは、学習者の達成感やニーズを引き出す支援、社会の土台をつくる人材養成の視点の有無、「学習オーガナイザー」としての役割力についてが指摘された。ファシリテーターの西山氏からは、目的・目標意識を持つこと、学習者の意識や行動変容を促進し、実現可能なプログラムであるかなど、事業企画・運営をしていくときのポイントが示された。

(13)まとめ「学習オーガナイザーの役割を学ぶ」
櫻田今日子(NWEC事業課長)が、本研修での学びを振り返りつつ、改めて、「個人が抱える問題を男女共同参画の視点で読み解くことで社会的課題に結び付け、男女共同参画の視点から社会の土台づくりをする人材育成を行うこと」を地域における学習オーガナイザーの果たす役割と解説した。

(14)閉会
閉会にあたり、中澤貴生NWEC理事より、3日間プログラムを受講した参加者には修了証が手渡された。
終了後のアンケートからは「体系的な学びと実践的な内容が身についた」「講座を行う意義と役割について理解できた。プログラムデザインによる講座の見える化ができることの意味は大きい」「個の課題を社会の土台づくりとして描いていく考え方が大変重要であることを実感した。」などの感想が寄せられた。研修修了生の今後のさらなる活躍が期待されます。

全体集合写真

閉会 修了証授与

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