研修・イベント

研修

実施報告

2019年度「男女共同参画推進フォーラム」

開催期間:2019年8月29日(木)~31日(土) / 定員:1,000名

開催場所:国立女性教育会館


事業内容

女性活躍推進、女性のキャリア形成支援、ワーク・ライフ・バランス等の課題の解決に資するための研修を実施するとともに、関係機関・団体等の相互交流の促進を支援。

特別講演「日本国憲法に女性の権利を ~母ベアテ・シロタ・ゴードンの願い~」講師 ニコール・A・ゴードンさんよりメッセージをいただきました。(2019.9.2)
英語版概要は以下のリンクからご覧いただけます(Go to English Page for more details)
お知らせ

【宿泊申し込みを締め切りました】
宿泊をご希望の場合は、近隣の宿泊施設を御利用ください。
*フォーラム当日の宿泊申込はできません。

宿泊されない方は、申込なしでご参加いただけます。当日そのままご来館ください。

【以下のワークショップについて、運営団体の都合により辞退となりました】

<ワークショップ>
・W5 源氏物語に学ぶ男女共同参画式部の思いこそ原点(源リウ会)
・W32 女性の起業や生き方を変革する!あらたなファンを作るブログのはじめ方(ファンタスティックスパイラル)
・W33 「女性の自立について」(ぬくもりアルバム工房MOKO)

<ポスター展示>
・P7 男女共同参画防災カルタ(くらよし男女共同参画推進スタッフ会)

1.趣 旨

男女共同参画を推進する行政担当者、女性団体やNPOのリーダー及び大学や企業において組織内のダイバーシティや女性の活躍を推進する担当者等が一堂に会し、課題の共有と課題解決のための方策を探る研修を実施します。同時に、組織分野を越え、連携・協働して男女共同参画を推進するためのネットワーク形成を図ります。

2.テーマ

つなぐ、あらたな明日へ ~女性も男性もともに暮らしやすい社会を創る~

3.日 程

2019年8月29日(木)~8月31日(土)

4.主催及び会場

独立行政法人国立女性教育会館

5.参加者

男女共同参画に関心のある方(行政、企業、大学、NPO等の組織において男女共同参画の推進に携わる方及び女性団体、女性/男女共同参画センター職員を含む) 1,000名

6.内 容

【第1日】8月29日(木)
(1)開会 主催者あいさつ                      13:00~13:15

(2)特別講演・トークセッション                  13:15~15:00
「日本国憲法に女性の権利を ~母ベアテ・シロタ・ゴードンの願い~」    
日本国憲法の草案作成の際、社会保障や男女平等の理念を条文に入れることに尽力したベアテ・シロタ・ゴードン。彼女の粘り強い活動によって日本女性が社会に参画する戦後の第一歩が築かれたと言われています。日本国憲法草案に込めた思いやその後の日本との関わりについて、ベアテさんの娘であり法学者でもあるニコール・A・ゴードンさんにご講演いただきます。その後のトークセッションでは、憲法がご専門でベアテさんの活動を熟知する辻村みよ子さんを交え、日本においてベアテさんが果たした役割と歴史的意義について振り返りながら、今日の男女共同参画推進の課題についても考えていきます。
講師:ニコール・A・ゴードン 
          ニューヨーク市立大学バルーク校特別修士課程学部長/
          弁護士/ベアテ・シロタ・ゴードンの長女
   辻村みよ子  明治大学法科大学院教授/東北大学名誉教授/弁護士
聞き手・通訳:尾竹 永子  舞台芸術家

(3)ワークショップ1・パネル展示1                15:30~17:30
全国から募集したワークショップやパネル展示を行います。

(4)懇親会                            18:30~20:00
立食形式のパーティで全国からの参加者と交流を深めます。
参加費3,500円(消費税込)

【第2日】8月30日(金)
(5)ワークショップ2・パネル展示2                10:00~12:00
会館提供ワークショップと、全国から募集したワークショップやパネル展示を行います。

(6)シンポジウム                         13:15~15:00
「基本法から20年 ~今こそチャレンジ!政治分野への女性の参画~」
「男女共同参画社会基本法」成立から20年。法整備は進みながらもなかなか実質的な平等が進まない日本社会において、昨年「政治分野における男女共同参画推進法」が公布・施行され、実際に動き始めました。各地でその動きをさらに実質化していくためには、いったいどのような取組が効果的なのでしょうか。「男女共同参画社会基本法」の起草に関わられた大沢真理さんの解説でこの20年の成果と課題を踏まえつつ、男女共同参画推進の具体的な手法としての政治分野への女性の参画拡大の意義と、その実現のプロセスについて、理論と実践の両面で考えていく機会を提供します。
シンポジスト:三浦 まり  上智大学法学部教授
       河合 覚子  公益財団法人岐阜市教育文化振興事業団 岐阜市女性センター係長
       三島あずさ  朝日新聞社会部記者
コーディネーター:大沢 真理  東京大学名誉教授

(7)ワークショップ3・パネル展示3                15:30~17:30
会館提供ワークショップと、全国から募集したワークショップやパネル展示を行います。

(8)映画上映「私は男女平等を憲法に書いた」            19:00~20:20
ベアテ・シロタ・ゴードンの思いを伝えるドキュメンタリー映画を上映します。

【第3日】8月31日(土)
(9)ワークショップ4・パネル展示4                10:00~12:00
全国から募集したワークショップやパネル展示を行います。

(10)多世代ワールドカフェ100人会                13:15~16:15
フォーラム3日間を通して得られた知識や情報、スキル等を活かして、明日から地域で男女共同参画を推進していくためにどう行動につなげていけるかを「ワールドカフェ」の手法を用いた情報共有と意見交換を行います。「ワールドカフェ」実践の第一人者、古瀬正也さんがファシリテーターを務めます。
ファシリテーター:古瀬 正也 古瀬ワークショップデザイン事務所代表

7.ワークショップ及びパネル展示について
(1)趣旨
フォーラム期間中、会館及び一般公募による団体・個人が、男女共同参画、ダイバーシティ及び女性の活躍推進を目的とした日頃の取組や研究、教育、学習、実践活動の発表を行う場として、ワークショップ及びパネル展示を実施します。

(2)テーマ
ワークショップ及びパネル展示のテーマは、国の「第4次男女共同参画基本計画」に示されている施策などを参考に設定した、以下の7分野です。

(3)会館提供ワークショップについて
会館から発信する学習支援や実践報告のワークショップを実施します。

①「男女共同参画の視点に立った地域づくりについて考える ~学習オーガナイザー養成研修から~」
8月30日(金)10:00~12:00
男女共同参画社会の実現を推進するためには、地域課題の解決に向けて男女共同参画の視点から体系化された効果的な学習プログラムを開発・企画し、展開していく人材としての「学習オーガナイザー」が必要です。このワークショップでは、学習オーガナイザーの役割、学習プログラムの設計図となる「プログラムデザイン」、地域づくりを進めるプログラム作りについての解説を行います。そして実践事例をもとにフロアでの討議を行い、男女共同参画の視点に立った企画のあり方について考えます。
講師:松下 光恵  NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事
   中野 洋恵  国立女性教育会館事業課客員研究員
   亀田 温子  十文字学園女子大学名誉教授
報告者:青木 孝美  JA長野中央会総合企画室
ファシリテーター:西山恵美子  国立女性教育会館事業課客員研究員

②「ユースが見てきた世界とユースから見える社会」
8月30日(金)15:30~17:30
ニューヨークの国連本部で開催された国連女性の地位委員会(CSW)に参加し学んだ若者が中心となって報告します。報告の後には、参加者の皆さんと一緒に世代を超えた連帯を強化する可能性をディスカッションします。
報告者:三澤 里奈  JAWW(日本女性監視機構) CSW63若者支援 受賞者/
           東京都台東区男女平等推進プラザ登録団体サークルやまとことば
    長谷川 舞  CSW63参加/大学女性協会賛助会員
    春藤  優  JAWW CSW62若者支援受賞者/シャベル:早稲田で性暴力の根を切る代表
コーディネーター:草野 由貴  JAWW役員 CSW63メンター/女性と人権全国ネットワーク事務局

※「ユースが見てきた世界とユースから見える社会~若者×社会保障~」とタイトルを記載しておりましたが、正しくは「ユースが見てきた世界とユースから見える社会」です。ご迷惑をお掛けしますことを、謹んでお詫び申し上げます。

(4)ワークショップ選定委員会
募集ワークショップ(ワークショップの部、パネル展示の部)の選考と調整を行います。
選定委員:犬塚 協太  静岡県立大学国際関係学部教授   
     小野島恵子  公益財団法人21世紀職業財団事業推進部長
     木須八重子  公益財団法人せんだい男女共同参画財団理事長

8.参加申込・受付について
(1)日帰りまたは通い参加の方
事前申込は必要ありません。直接、本館1階の受付にお越しください。
*「日帰り・通い参加申込書」を会館ホームページからダウンロードし、記入の上持参いただくと受付がスムーズです。

(2)会館への宿泊を希望される方
①宿泊申込期間:7月8日(月)より開始(先着順)
*申込開始日以前の到着については受け付けません。
*満室になり次第締め切ります。満室となった際は御自身で近隣の宿泊施設を手配ください。
*当日の宿泊申込はできません。

②宿泊申込方法:「2019年度 男女共同参画推進フォーラム宿泊申込フォーム」よりお申込みください。
*記入事項に回答し送信ボタンをクリックすると、回答のコピーが指定したアドレスにメールで届きます。コピーが届かない場合は正しく送信されていませんので、必ずご確認ください。
*申込フォームより送信ができない場合は、別紙参加申込書(ホームページからダウンロードもできます)に必要事項を記入の上、事業課に郵送ください。
*送受信の行き違いを防ぐため、FAXは不可とさせていただきます。

③ その他
*他の参加者と相部屋となることを予め御了承ください。
*御不明点などは事業課にお問い合わせください。
電話:0493-62-6724 平日9:00~17:00

9.所要経費(金額はすべて消費税込) *宿泊費及び懇親会費は当日受付で集金します。
(1)参加費:無料
(2)宿泊費:フォーラム開催期間中は、1名1泊あたり、小学生以上:1,200円 未就学児:500円
   *前泊(8/28)・後泊(8/31)も同じ料金で宿泊できます。
(3)懇親会費:3,500円(希望者のみ) 8月29日(木)18:30~20:00、夕食を兼ねた立食形式、本館レストラン貸切
   *29日夜は食堂の通常営業は行いません。
(4)食費:会館レストランを御利用ください。朝食バイキング:870円、昼食カフェテリア形式:550円~、夕食バイキング:1,080円

10.無料託児(事前申込制)
おおむね1歳以上~就学前のお子様を対象に実施します。定員5名程度。託児を希望する旨を件名に記載の上、事業課(progdiv@nwec.jp)にメールを送付ください。別途、手続きについてお知らせします。
*詳細は下記リンクの【託児についてのご案内】をお読みください。
 8月5日(月)までに返信がない方はお手数ですが、事業課までお問い合わせください。
 電話:0493-62-6724 平日9:00~17:00

11.情報コーナー(場所:本館1階ロビー)
参加者が所属する団体の男女共同参画推進に関わるパンフレットやチラシなどの資料や書籍などを、自由に交換・販売するコーナーを設置します。資料の運搬、陳列、金銭の取扱いなどは、各自の責任でお願いします。

12.送迎バス
期間中、国立女性教育会館本館前~東武東上線武蔵嵐山駅東口間で無料送迎バスをピストン運行します。運行間隔は、1時間に3~4本程度です。

13.その他
以下の点について、予め御了承ください。
(1)参加者同士の交流・情報交換の促進を目的とした場ですので、署名運動や行き過ぎた勧誘、募金等は御遠慮願います。
(2)申込書等で得た個人情報については、事業実施のための連絡及び参加者の統計情報として使用します。その情報は厳重に管理し、取扱いには十分留意いたします。
(3)期間中、当館が撮影した写真を記録や広報に使用します。

「男女共同参画推進フォーラム」開催報告

2019年8月29日(木)~31日(土)に「男女共同参画推進フォーラム」を開催しました。

 毎年8月末に開催する「男女共同参画推進フォーラム」はNWEC最大のイベント。今年も全国から1200人を超える人々が集まり、男女共同参画社会づくりに関わる活発な情報交換と、組織や分野を超えて連携・協働していくためのネットワークづくりを行いました。

■特別講演・トークセッション「日本国憲法に女性の権利を〜母ベアテ・シロタ・ゴードンの願い〜」
8月29日(木)13:15~15:00

 特別講演には、日本国憲法の草案作成に携わったに故ベアテ・シロタ・ゴードンさんの長女、ニコール・A・ゴードンさんを米国よりお招きし、ベアテさんが日本で果たした役割やその思いについてお話しいただきました。

 第2次大戦前、幼いベアテさんは高名なピアニストだった父とともにウィーンから一家で来日、15歳までを日本で過ごしました。その後、米国留学中に開戦となり日本に残った両親と離れ離れになってしまいます。両親を案じたベアテさんは、戦争が終わると流暢な日本語力を生かしてGHQの民政職員となり、再来日を果たします。調査等に関わっていましたが、突然憲法草案作成プロジェクトのメンバーに指名され、女性の権利に関わる条項を担当することに。幼い頃目の当たりにした日本女性の低い地位をなんとか改善したいと考えたベアテさんは、最も良い条文を求めてあちこちの図書館で各国の憲法を探し求め、熟考の末に詳細かつ力強い草案を提出しました。最終的に大幅にカットはされたものの、残ったのが現憲法の第14条「法の下の平等」第24条「両性の本質的平等」です。その後ベアテさんは、国家機密としての秘匿義務が解除された後も、自身が若かったこと、日本人でなかったこと、女性であったことが各条項の価値を弱めるのではないかと考え、長い間草案担当の事実を明かしませんでした。しかし、戦後50年を過ぎてからは頻繁に来日し、各地での講演や書籍を通じて女性の権利と平和の礎づくりを支援しました。憲法の精神が確実に実現していくことを願い、亡くなる直前の病床でも新聞社の取材に応じ、日本に向けてメッセージを発信し続けていたということです。
 ニコールさんは「次世代を育てるという仕事は一生終わりません。ベアテを知っている世代の方たち、ぜひ過去との架け橋となって、現憲法ができてからの女性をとりまく変化を共有してください」と熱く語りました。そして「ベアテの講演会などに参加したことのある方はその場で立ってみてくださいますか」と問いかけると、会場の隅々までたくさんの方が次々に起立し、自然と拍手が湧き起こりました。次にニコールさんは若い人たちに向けて「今持っている権利を当然と考えないで。知識と視野を広げて、多くの人々の努力で達成された権利を勇気とエネルギーとをもって守っていってください」と語り、最後にベアテさんとも深い親交のあった市川房枝さんの言葉「平和なくして平等なし、平等なくして平和なし」を引用してスピーチを締めくくりました。

 その後のトークセッションには、ジェンダーと法律、とりわけ憲法を専門とされている辻村みよ子さん(明治大学法科大学院教授)が登壇。個人の尊厳と男女平等の保障を同時に定めた第24条は比較憲法学的に見ても他に例のないことだと明晰に解説しました。辻村さんから現在のアメリカのジェンダー平等について問われたニコールさんは、「#MeToo運動によって新たな時代を迎えている。女性に対してだけでなくセクシュアルマイノリティへの差別など、様々な問題が取り上げられて話し合われることが多くなった。多くの企業が差別なく人々を扱うことや倫理的な経営のあり方について考えるようになったのは、こうした関心の高まりがもたらした大きな成果の一つだと思う」と述べました。辻村さんは「日本でも官僚によるセクハラ事案や入試での女子差別などが明るみに出てショックを受けていたが、アメリカでもまだその段階だということに驚いた。差別への取組が世界共通の課題になってきたのですね」と述べ、男女共同参画の実現が立ち遅れている日本の現状をデータで示しながら、政治・雇用分野へのポジティブアクション導入や、ジェンダー教育の重要性を訴えました。「日本ではあらゆる面での取組が急務。それぞれの場所で力を合わせて頑張っていきましょう!」という辻村さんの呼びかけに、会場は大きな拍手で応えました。

 最後にベアテさんの講演の動画を全員で視聴し、憲法制定から今に至る男女共同参画の歩みに共に思いを馳せました。猛暑の中でしたが、かつてのベアテさんの講演に励まされた方々が各地から駆けつけ、講堂はもとよりライブ中継した大会議室にも人が溢れて、参加者数は実に約800名を数えました。



■シンポジウム「基本法から20年〜今こそチャレンジ!政治分野への女性の参画」
8月30日(金)13:15~15:00

 1999年の男女共同参画基本法(以下、基本法)成立から今日までの実績を振り返りつつ、喫緊の課題である政治分野への女性の参画拡大について理論と実践両面から考えました。

 シンポジウムの前半では、基本法策定に深く関わられた大沢真理さん(東京大学名誉教授)が、成立以降のジェンダー平等関連政策の展開について解説しました。ジェンダー平等政策は、道義的な正しさのみならず、社会的得失の見地からも必要性が謳われ、基本法に基づいた男女共同参画基本計画を5年ごとに改定しながら政策展開が図られてきました。ジェンダー平等関連政策には、平等化の促進を目標とする施策と、平等化を阻害する社会制度・慣行の是正を図る施策の2種類があります。大沢さんは現在の第4次基本計画までの内容をまとめた一覧表を示しながら、「基本法策定時に海外の例を調べたが、平等化の促進施策に加えて、平等化阻害要因の是正施策を掲げているのは日本だけだった。しかし国際的にみてもユニークであった是正施策の位置づけは次第に後退しているのが現状だ」と指摘しました。

 実際、税制や社会保障制度などのデータを検証していくと、日本が女性やひとり親に厳しい社会となっている現実が浮き彫りになります。最後に大沢さんは、スポーツなど様々な分野で活躍する女性の数が伸びている一方で、企業の管理職や議員の女性比率が低迷し続けているグラフを示し、「意思決定の場における男女共同参画が喫緊の課題となっていることは明白である」と述べて、後半のディスカッションへの話題提供としました。

 後半は、異なる分野から3人の気鋭のシンポジストが登壇し、意思決定の場である政治分野に焦点を当て、大沢さんのコーディネートで推進の方策について探りました。

 三浦まりさん(上智大学法学部教授)は、昨年成立した「政治分野における男女共同参画推進法」(以下、候補者男女均等法)を紹介。候補者男女均等法は、国や地方議会の選挙において候補者の男女比をできる限り均等にするよう各政党に努力義務を課すとともに、国と地方自治体に政治分野の男女共同参画を推進する人材の育成・活用を求めています。各地の男女共同参画センターには人材育成の場となることが期待されますが、「ノウハウがない」と二の足を踏むセンターの多いのが実情とのこと。また、三浦さんは自ら立ち上げたパリテ・アカデミーという団体で女性の人材育成プログラムを実施していますが、そこで「政治家の一番の役目は地域の多様な人々の声を“聞くこと”だ」と伝えると、参加者の多くが驚くと言います。「政治のイメージを刷新し、女性が担い手になろうと思えるようにすることがまず大切だ」と三浦さんは強調しました。

 河合覚子さん(岐阜市女性センター係長)は、実際に女性の政治参画推進事業を行っている岐阜市女性センターでの取組を紹介しました。発端は地元の女性団体から実施の要望が寄せられたことでしたが、政治分野の事業に取り組むことについては、当初センター内でやはり消極的な意見が出たそうです。しかし「今こそ必要な事業だ」との認識を持って市役所と調整を図り、地元女性団体と協働での開催にこぎつけました。当日は、それまでの様々な懸念を払しょくするかのように、多様な世代・立場の市民が集まり、市の内外から多くの議員も出席して、非常に有意義な意見交換の場になったとのことです。

 三島あずささん(朝日新聞社会部記者)は、報道分野における地道な取組の有効性について話しました。かつては女性の政治参画はめったに紙面に載りませんでした。しかし、2016年1月、男女同数の国会成立をめざす法案づくりへの超党派議員の動きをキャッチした三島さんら政治部以外女性記者たちが記事を書き始めます。その年の末に世界経済フォーラムから発表された日本のジェンダーギャップ指数は111位。ショックを受けた三島さんたちは、さらに身近なジェンダー格差の実態を扱った連載企画も発信。次第に社内に共感が広がり、ジェンダー視点での記事執筆指針も久方ぶりに改訂されるなどし、そして候補者男女均等法は、成立翌日の一面トップで報道されました。法成立後初の国政選挙となった今年の参院選では男性記者たちも加わり、各政党の姿勢、女性議員ゼロ地域の実情、立候補を志す女性たちのストーリーなど、現場が見える記事を発信しました。その投開票報道の朝刊1、2面は女性にフォーカスした記事が飾りました。

 最後に、大沢さんが「基本法を作った時には政治分野での男女共同参画は最難関の課題だと思われていた。しかし基本法があったからこそDV防止法や候補者男女均等法の成立が可能になった。20年前に基本法策定に関われたことへの思いがまた強くなった」と結び、講堂は満場の拍手で沸きました。



■映画上映『私は男女平等を憲法に書いた』
8月30日(金)19:00~20:20

 ベアテさんをより深く知る機会として、日本国憲法の策定過程でのベアテさんの働きを追ったドキュメンタリーを上映しました。一般にはなかなか見る機会のない貴重な作品です。夜間でしたが、講堂で約100名の方が熱心に視聴されました。



■多世代ワールドカフェ100人会
8月31日(土)13:15~16:15

 フォーラム最後のプログラムは、「多世代ワールドカフェ100人会」。ワールドカフェとはアクション・ラーニングの手法の一つで、まるでカフェにいるかのようなリラックスした雰囲気の中、旅人になったつもりでいくつかの小グループを巡り、様々な人に出会い対話を交わして、自らの考えや思いを確かめていくというワークです。この3日間を締めくくりに、参加者それぞれが自らの思いを咀嚼しまとめる機会となるよう企画しました。会場の本館「レストランらん」に集まったのは、世代も活動分野も異なる90名余。ファシリテーターはワールドカフェ研究・実践の第一人者、古瀬正也さん(古瀬ワークショップデザイン事務所代表)です

 最初に古瀬さんは「9マス自己紹介」や「マッピング」などいくつかのアイスブレイク・ワークをたっぷり実施。会場にはすぐに笑い声や歓声があふれ、初めて出会う同志がほとんどなのにもかかわらず、あっという間に和やかな雰囲気になりました。その後、参加者は各テーブルを囲む3〜4人ずつのグループに。古瀬さんの出す「フォーラム3日間を通してどんな学びや気づきがありましたか?」「(あなたの現場で)男女共同参画を推進していくために、どう行動していけるでしょうか?」という問いごとにテーブルを移動して、いろいろな人との語り合いを深めました。グループでの話し合いを終え、「どんな話が出ましたか?」と古瀬さんが問いかけると次々に手が上がり、「自分たちの団体のあり方を見直そうと思った」「新しい活動のアイデアを見つけた」「まず家庭の中から男女共同参画を実践したい」等々、率直な思いが語られました。その後、各自の発見や気づきを思い思いに紙に書きとめ、全員で記念撮影。3日間のフィナーレに晴れ晴れとした笑顔が並びました。

 


■ ワークショップ・パネル展示
8月29日(木)~31日(土)

 「第4次男女共同参画基本計画」に示されている施策を参考に、以下7つのテーマを設定し、全国からの応募を受け、ワークショップ49件、パネル展示10件の計59件が採択されました(うち3件は当日都合で辞退)。このフォーラムでの発表を目指して活動を積み重ねている団体も少なくありません。工夫を凝らした様々なプログラムで各会場はにぎわいました。

①働き方を考える
②女性のキャリアを考える
③教育と男女共同参画
④安全・安心な社会づくり
⑤地域づくり、人づくり
⑥男女共同参画センターの役割
⑦国際協力とジェンダー

●採択された団体とテーマ(~準備中~)

 


■会館提供ワークショップ
期間中2つの会館提供ワークショップが行われました。

1.「男女共同参画の視点に立った地域づくりについて考える~学習オーガナイザー養成研修から~」
8月30日(金)10:00~12:00
 
 男女共同参画社会の実現を推進するためには、地域課題の解決に向けて男女共同参画の視点から体系化された効果的な学習プログラムの開発・企画をし、展開していく人材としての「学習オーガナイザー」が必要です。このワークショップでは、松下光恵さん(特定非営利活動法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事)が「学習オーガナイザー」とは何か、また「プログラムデザイン」の重要性について最初に説明しました。次に地域づくりの中の男女共同参画の視点について解説しました。続いてJA長野中央会の青木孝子さん(平成30年度「学習オーガナイザー養成研修」修了生)からの実践報告を亀田温子さん(十文字学園女子大学名誉教授)とのトークセッションで行い、プログラムデザインと学習活動の実際を学びました。その後それをもとに参加者同士でグループワークを行い、男女共同参画の視点に立った地域づくりの企画のあり方について考えました。

2.ユースが見てきた世界とユースから見える社会
8月30日(金)15時30分~17時30分

 昨年に続き、草野由貴さん(JAWW(日本女性監視機構)役員/CSW63メンター/女性と人権全国ネットワーク事務局)のコーディネートで、3人の若者が登壇しました。長谷川舞さん(CSW63参加、大学女性協会賛助会員)は学生の立場から、三澤里奈さん(JAWWCSW63若者支援受賞者東京都台東区男女平等推進参画プラザ登録団体サークルやまとことば)は社会人の立場から、春藤優さん(CSW62若者支援受賞者シャベル:早稲田で性暴力の根を切る代表)は自身で団体を立ち上げ運営している立場から、CSWで学んできたこと、自分たちの生活や活動の報告、ジェンダー課題に対して感じていることや悩みについてお話しいただきました。また「学校でジェンダー教育をもっと重視するべき」、「活動の志を維持し連携を広げる方法は」、「下の世代とどうつながったらよいか」といった話題が提供されました。

 後半は、それらの話題を踏まえてフロアを交えてディスカッションを行いました。「就職活動や転職の際にジェンダー課題についての活動は日本ではネガティブにとらえられることが多い」「就職や結婚等によって活動の時間や行動に制限が出てくることも。でもネットワークがあるから自信をもって続けてほしい」といった意見が出されました。また、「若い人とつながるとき、押し付けにならないか」という意見に対しては、「ノウハウは教えてほしい。共有してさらによくできるものもある」「先輩後輩でも個人同士は対等。尊重し合うために定期的に話し合うことが大切」といった意見が出されました。
 最後に草野さんが「押しつけになっていないかという意識があれば大丈夫。活動を次世代へ伝えていくためには、惜しみなく支援を。技術的な仕事を頼むだけでなく、若者の持つ知識を伝えるチャンスと責任を与えること、優劣でなく持てる知識の違いを認め合い補い合うことが重要」と話され、ワークショップを閉じました。世代を超えても思いは共通することがわかり、協働を考える一助となりました。



■さまざまな交流プログラム

 初日夜の夕食を兼ねた懇親会NWECボランティアによる交流プログラムなど、さまざまな機会を通し、北海道から沖縄まで、男女共同参画に心を寄せて各地で活動している人々が言葉を交わし、交流を深めていきました。

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