研修・イベント

研修

実施報告

平成28年度「大学等における男女共同参画推進セミナー」

開催期間:平成28年11月29日(火)~30日(水) 1泊2日 / 定員:80名

開催場所:放送大学東京文京学習センター / 国立女性教育会館(NWEC) /


事業内容

経営戦略として男女共同参画を位置づけることをねらいとし、それに関わる高等教育機関の教職員を対象とした研修を実施。

1.趣  旨

テーマ:「経営戦略としてのダイバーシティ&インクルージョン」

 大学等の高等教育機関が、優秀な人材を獲得し、その研究力・教育力を高めていくためには、育児中の女性や介護を抱える男性などをはじめとして、多様な人材が活躍できる自由闊達な職場の雰囲気をつくり、新しい発想やアイディアが生まれる風土を形成していくことが必要である。そのために必要な「ダイバーシティ&インクルージョン」の視点を学ぶことをねらいとする。
 本セミナーでは、高等教育機関が進むべき方向についての基調鼎談やパネル・ディスカッション、これまで各大学が取り組んできた女性活躍推進についての具体的な好事例の紹介や、これからの男女共同参画推進をとりまく状況についての豊富なデータ分析を通じ、学内で男女共同参画に携わる教職員を対象として、専門的、実践的な研修を行う。

2.主  催

独立行政法人国立女性教育会館

3.後  援 

一般社団法人国立大学協会、一般社団法人公立大学協会、
日本私立大学団体連合会、全国公立短期大学協会、
日本私立短期大学協会、独立行政法人国立高等専門学校機構

4.会  場

1日目:放送大学東京文京学習センター
〒112-0012 東京都文京区大塚3丁目29-1
(東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅すぐ)

2日目:国立女性教育会館(NWEC)
〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728
※1日目のプログラムが修了後、バスでNWECへ移動。

5.期  日 

平成28年11月29日(火)~11月30日(水) 1泊2日

6.参 加 者

大学・短期大学・高等専門学校の男女共同参画に携わる教職員及び女性の採用、就労、入学、キャリア教育、就職に関わる総務・人事・入試・就職部門の教職員

7.定  員

80名

8.日  程(各プログラムの間に10~15分の休憩あり)

9.内  容

第1日 11月29日(火)  【東京茗荷谷会場:放送大学東京文京学習センター】

(1)開会                         
 13:15~13:30
 ①主催者あいさつ  国立女性教育会館理事長  内海 房子
 ②プログラムの趣旨説明

(2)基調鼎談「経営戦略としてのダイバーシティ&インクルージョン」 
 13:30~15:15
 長らく、高等教育機関で男女共同参画やジェンダーの研究に携われている3名の専門家にご登壇いただき、研究と教育という大学の使命を踏まえ、学内全体への男女共同参画意識の浸透や推進体制を構築することの必要性についてお話しいただくとともに、高等教育機関の経営戦略の課題と解決策を「ダイバーシティ&インクルージョン」から考察する。

講師:井野瀬久美惠   甲南大学文学部教授 日本学術会議副会長
   脇坂 明     学習院大学経済学部教授
進行:束村 博子    名古屋大学大学院生命農学研究科教授 
            名古屋大学副理事 名古屋大学男女共同参画室長

(3)パネル・ディスカッション「女性も活躍できる職場風土を考える」  
 15:30~16:45
 昨年10月に発表された英国教育専門誌「タイムズハイヤー・エデュケーション(THE)」の世界大学ランキングでは、日本の大学の国際的評価の低下がみられるなど、我が国の高等教育機関の経営は厳しい状況に直面している。今後、海外の諸大学と肩を並べつつ、特色ある研究・教育を展開していくためには、より多くの優秀な教職員を獲得することが喫緊の課題である。ここでは、管理職あるいはその候補者である女性職員4名にご登壇いただき、職場の現状と課題も踏まえ女性が活躍できる職場の風土づくりについて、本音とリアルを会場の参加者と共有する。
パネリスト: 中野 浩子  東京大学工学系・情報理工学系等国際推進課長
      腰越 朋子  聖心女子大学教務課長
      面川 弥生  東京工業高等専門学校総務課総務係長
コーディネーター: 矢野 由美  立教女学院法人事務局長

(4)情報提供「企業主導型保育事業について」       
 16:45~17:15
 待機児童対策として内閣府が緊急に対策を講じる「企業主導型保育事業」について紹介するとともに、大学等がこの制度をどのように活用できるか、学内で保育環境を整備する一つの策として具体的に解説する。
講師: 内閣府子ども子育て本部担当者

(5)夕食・情報交換会                  
 17:30~18:30
 参加者それぞれが抱える課題の共有とネットワークづくりの場。立食形式。
 (参加費3,500円、於:放送大学内)

☆国立女性教育会館へバスで移動(約90分)
※20:15頃到着予定   以降 自由時間 宿泊

第2日 11月30日(水)  【埼玉武蔵嵐山会場:国立女性教育会館】

(6)特別講義「ジェンダーに敏感な視座に立ったキャリア支援の必要性」  
 9:00~ 9:40
 男女共同参画は、女性だけを対象にしたものではなく、男性の働き方や男子学生のキャリアプランニングを考える際にも必要な視点である。教育機関としての組織のあり方や学生のキャリア支援を考えるうえで踏まえるべき知見としてのジェンダーの視点について学ぶ。
講師: 伊藤 公雄  京都大学大学院文学研究科教授
  
(7)分科会前半                     
 9:50~11:30
 大学における男女共同参画推進の主要な課題について、事例報告をもとにディスカッションを行い、明日からの具体的な取組につながる知見を培う。前半は、各高等教育機関等の事例報告を聞き、課題をグループ内で共有する。
  
<分科会Ⅰ>「大学等における働き方改革」
 学内全体で、ワーク・ライフ・バランスの取れた労働環境づくりに取り組むためには、女性だけでなく男性も、育児だけでなく介護も、と支援の対象を拡げていく必要がある。分科会1では、国立大学と私立大学の取組事例をもとに、ダイバーシティ促進の上でも不可欠な研究や仕事と育児・介護といったライフイベントとの両立をめざした環境づくりについて考える。

事例①「岩手大学の取組(仮)」
報告者:堀 久美   岩手大学男女共同参画推進室 准教授
事例②「長崎大学の取組(仮)」
報告者:伊東 昌子  長崎大学副学長 
           ダイバーシティ推進センター長
事例③「明治大学の取組(仮)」
報告者:浜本 牧子  明治大学副学長
           男女共同参画センター長
コーディネーター:伊達 紫    宮崎大学理事・副学長
                 宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室長

<分科会Ⅱ>「出口戦略としてのキャリア支援」
 数年来大学のキャリア支援は定着し、発展しつつある。特に女子学生は、就職に効果的なキャリア支援プログラムがある大学を求めている。
分科会2では、国立女性教育会館の女子大学生に対する取組や、企業の女性社員獲得への努力、高専の女子学生へのキャリア支援の事例から現在の学生をとりまく状況や直面する課題について共有する。就職だけではなく、その後のキャリアを形成するために、高等教育機関は、学生をどう育て、どのように社会へ送り出すべきかを考え、今後のキャリア教育・キャリア形成支援をいかに行うべきかについて考察する。

事例①「女子大学生キャリア形成セミナーについて」
報告者: 佐伯加寿美  国立女性教育会館事業課専門職員
事例②「女性が活躍する会社は、好い会社」
報告者: 松橋 卓司  株式会社メトロール代表取締役社長
事例③「高等専門学校のキャリア支援の取組」
報告者: 中谷 敬子  大阪府立大学工業高等専門学校
            総合工学システム学科メカトロニクスコース
コーディネーター: 佐伯加寿美  国立女性教育会館事業課専門職員

☆昼食<レストランらんにて>              
 11:30~12:30

(8)分科会後半                    
 12:45~14:30
 後半は、前半共有した課題の解決策をグループ内で探り、全体で考察する。

(9)全体会                      
 14:40~14:55
 各分科会の報告と考察により、参加者の情報共有を行う。
報告者: 伊達 紫   (分科会Ⅰ)
     佐伯加寿美  (分科会Ⅱ)
進 行: 小井川 聡  国立女性教育会館事業課専門職員

(10)アンケート記入・閉会                
 14:55~15:00

10.申込方法・期限等

(1)方  法
 ①Eメール:国立女性教育会館事業課(progdiv@nwec.jp)まで申込書を送付。
 ②郵送:国立女性教育会館事業課まで申込書を送付。

(2)申込期限
 定員に余裕があるため、申込み期間を延長しました。

  平成28年11月18日(金)(先着順)
※期間内でも定員に達した場合は申込の受付を締め切ります。

(3)提出書類
  「参加申込書」
  ※申込書内にある、「学内における男女共同参画推進の実情や取組について」もご記入ください。
(4)参加決定のお知らせ
  ご本人宛にメールにてお知らせします。11月23日(水)までに連絡がない場合は、お手数ですが事業課(電話:0493-62-6724/6725)までお問い合わせください。

11.所要経費(金額はすべて消費税込)

(1)参加費     なし
(2)宿泊費     研修期間中は1泊1,200円(後泊も同額)
(3)食費      2日目は、会館内レストランらんをご利用ください。
           朝食 バイキング形式870円
           昼食 カフェテリア方式700円~1,000円程度
(4)情報交換会費  3,500円(11月29日17:30~18:30 立食形式)

12.そ の 他

 期間中、職員が撮影した写真を事業記録や広報のために使用することがあります。あらかじめご了承ください。
 「大学等における男女共同参画推進セミナー」は、外務省主催国際女性会議「WAW! 2016」のシャインウィークス公式サイドイベントとして登録しています。

 大学・短期大学・高等専門学校の男女共同参画に携わる教職員及び女性の採用、就労、入学、キャリア教育、就職に関わる総務・人事・入試・就職部門の教職員を対象とした1泊2日(11月29日(火)~30日(水))のセミナーを開催し、全国から大学等関係教職員、80名強の参加を得ました。29日は放送大学東京文京学習センター(東京都茗荷谷)で、30日は国立女性教育会館(埼玉県武蔵嵐山)で実施しました。

【基調鼎談】

 1日目の東京会場では、基調鼎談として井野瀬久美惠氏(日本学術会議副会長、甲南大学文学部教授)、脇坂明氏(学習院大学経済学部教授)、束村博子氏(名古屋大学大学院生命農学研究科教授、名古屋大学男女共同参画室長、名古屋大学副理事)が登壇。「経営戦略としてのダイバーシティ&インクルージョン」をテーマに、学内の女性の活躍や働き方の改革が喫緊の課題であることや、男女共同参画推進を経営戦略の柱にすること等について、力強いメッセージをいただきました。
 束村氏からは、名古屋大学で大学の名声を高めるために学内トップの意識改革を推進していること、そのための政策として、外部資金の獲得や制度の整備、取組についての情報発信を重視しながら、粘り強く男女共同参画を進めてきたとの話がありました。
 脇坂氏からは、経済学者の視点からご示唆をいただきました。企業の場合、ワークライフバランスは、一時点ではなくプロセス全体として捉えて進めることで業績が上がることを、取り組み事例や研究成果を基に丁寧にご説明いただきました。
 井野瀬氏からは、日本学術会議副会長としてのお立場から男女共同参画を日本全体の問題として捉え課題や成果を発信していくことや、各高等教育機関が本気で進めていくことの重要性をご示唆いただきました。

 3氏からのメッセージをいくつか紹介いたします。詳しくは会館WEBページより、動画をご覧ください。

  • 育児等で離職していた教職員で早く復帰したい人がいればそのようにさせるべき。同時に 保育園などの託児施設や育児中の短時間勤務制を整備して、復職希望者の選択肢を増やすことも重要である。(脇坂氏・束村氏)
  • 男女共同参画意識の浸透を進めるために、男女共同参画に関する指標を評価の項目に入れるべきである。(井野瀬氏)
  • 私立の小・中規模の高等教育機関は男女共同参画を経営戦略に位置付けて進めていくべきである。もっと研修の場に参加するべきである。(脇坂氏)
  • 見える化も大切だが、横に展開すること(略語:横展←株式会社トヨタの用語)も大切であるということで、NWECには、各高等教育機関をつなぐ役目を果たしてほしいと期待する。(本セミナーの充実やベストプラクティスの紹介等)(脇坂氏、井野瀬氏)
  • 高等教育機関への進学そのものが、社会のジェンダー構成にそのままつながっている。特に女子学生に対する小中高からのキャリア教育が重要。
  • 学内の意識を変えるには、トップの意識改革が必須。そのためには、外の力を活用するなど開かれた機関をつくることが大切である。(例えば、外部資金を入れる努力をすることや、新聞記事等で広報すること等)(束村氏、井野瀬氏)
  • 医師や教員(研究者等)は自己の労働に対する満足度が高いからゆえ、長時間労働につながり、ワークライフバランスを築くことが難しくなってしまう。これでは、女性の活躍はおろか多様な人材が活躍する職場はつくれない。評価される指標を抜本的に変えなければならない。(研究者は論文をたくさん書かなければ評価されないなど、土日も研究に没頭している研究者を女子学生はどう見るだろうか)ただし、長時間働くことが悪ということではなく、多様な働き方があってよいという風潮ができることが大切である。(脇坂氏・井野瀬氏・束村氏)
  • 長時間労働をみなおして、定時に帰るために働くことで、コストパフォーマンスが上がる場合が多い。残業手当も抑制されて、企業にとっても利益が上がる手立てとなるだろう。(束村氏)
  • 育児は女性が担う場合が多いが、介護と仕事の両立については、今後、男女に関わらず深刻な課題となる。育児と仕事の両立が乗り切れないようでは、介護との両立はもっと大きな問題となるだろう。ワークライフバランスを向上し、意識改革を進めていくべきだと思う。また、自分がいないと職場に迷惑がかかるという理由で、様々な制度を利用しない人もいるが、普段から効率的な仕事のやり方や、チームワークによる分担を意識すれば、いざというときに強い。(束村氏)
  • 自分に何か起きた時の代替要員のために、普段から、周りの人に話しかけ情報共有をしておく。育児・介護休業法が改正され、介護休業を複数回に分けて取得できるようになる。(脇坂氏)
  • 直接面と向かって議論する時間を大切にしたい。(井野瀬氏)
  • ポジティブシンキングで、みんなで社会を変えましょう。(束村氏)

束村博子氏(名古屋大学大学院生命農学研究科教授、名古屋大学男女共同参画室長、名古屋大学副理事)

脇坂明氏(学習院大学経済学部教授)

井野瀬久美惠氏(日本学術会議副会長、甲南大学文学部教授)

基調鼎談の様子

 井野瀬氏、脇坂氏、束村氏、3氏それぞれのご意見が相乗効果を生み出し、力強いメッセージとして発信され、組織の男女共同参画を推進する立場にある参加者の知見を深めました。会場からの多くの質問に対して3氏が熱く受け答えしていただいた姿が、印象的でした。詳しくは会館WEBページより、動画をご覧ください。

【パネルディスカッション】

パネルディスカッション

 今後、各高等教育機関が特色ある研究・教育を展開していくためには、より多くの優秀な教職員を獲得することが喫緊の課題です。そのために、多くの女性管理職の登用が必要であり、女性も男性も働きやすい職場とすることが大切であります。テーマを「女性も活躍できる職場風土を考える」として管理職あるいはその候補者である女性職員4名にご登壇いただき、職場の現状と課題も踏まえ女性が活躍できる職場の風土づくりについて、本音とリアルを会場の参加者と共有していただきました。

 まず、「女性活躍推進法を含め、雇用環境の改善が日本全体で進められている現在、高等教育機関での進捗状況はどうでしょうか?これまで、女性研究者への支援は行われてきました。教員については、各人の研究業績で評価され、所属先を変えたりしながら昇進するというキャリアパスがありますが、事務職員は違います。属する機関の中で力を発揮し、教員と共に車の両輪となって、各組織力を高めていく必要があります。」とコーディネータの立教女学院法人事務局長矢野由美氏から話があり、事務職員を取り巻く男女共同参画の課題と現状について明らかにするパネルディスカッションが始まりました。

 ご登壇された4名の皆さんは矢野由美氏(立教女学院法人事務局長)のコーディネートのもとでご自身のご経験について以下のようにお話しいただきました。

中野浩子氏(東京大学工学系・情報理工学系等国際推進課長)
 女性が一生続けていく仕事で塾の講師は厳しいと思い、現在の職場の採用試験(国家公務員採用試験行政Ⅱ種)を受けました。出向の話が出た頃、出向中に妊娠してしまったらどうしようと悩んでいたとき、上司に「女性を採用した時点でそんなことは承知の上だ」と言われ、勇気づけられました。子どもが生後5か月くらいで保育園に預けて職場復帰しました。短時間勤務を最初は2時間取得し、徐々に減らしていくようにしました。育児休業からの復帰後、子供に無理をさせてしまい、肺炎で入院させてしまったときは大変でした。夜病院に泊まり、朝病院から出勤したこともありました。自分が休んでしまったときに周りのサポートがあったことに感謝しています。
 出張や残業は断り仕事を続けてきました。現状周囲からの信頼を得て、充実して楽しくやっているので、「管理職にならなくてもいいかな」と思っていましたが、女性の後輩や同僚から「管理職になってほしい。我々の道を作ってほしい。」と言われ管理職試験を受けることを決断しました。
 定時に帰るための工夫は、優先順位を考えて処理をすることです。急な打ち合わせなどは、「定時に帰らなければならないので」と早めに宣言をしておき、理解をしていただくようにしています。打合せも時間内に終わるように工夫していただいています。子どもが小さい頃は、週に1回だけファミリーサポートで8時まで残業できるようにして、メンバーに譲歩する形を取っていました。
 優秀なのにこれ以上、上を目指さない人が多いことが残念です。仕事をしていくうえで、今までの経験を次の代に伝えていかなければならないと思っています。これを自然なことと思えるような職場を作っていかなければならないと思っています。
 女性だから早く返してあげようということではなく、男性も女性も仕事以外の時間やアフター5を好きなことをして過ごせるような雰囲気にしたいです。残業が多ければなぜ多いのかを考えられる、人事課であってほしいです。残業しないことが当たり前であるという雰囲気つくりをしていきたいし、その雰囲気を別の課に移っても貫いて、職場全体に広まっていくようにしたいです。

腰越朋子氏(聖心女子大学教務課長)
 女子大学であり職員規模が小さい大学です。私は本学の卒業生でもあります。本学では、もともと産休・育休制度はありましたが「妊娠したらやめるものだと上司が当然に考えている」と思ってみんな産休・育休をとっていなかったのだろうと思います。当時の上司から「産休・育休の制度を使ってその後、職場に戻ってきますね」と言っていただき事務職員で初めて私が利用しました。現在は3歳まで育休がとれるようになっています。時短もとれるようになりました。職員は70名近くいて、7.5割女性、2.5割が男性です。管理職は半々です。子どもがいる管理職は自分だけです。声をかけていただき、自分が課長になれることに喜びを感じたことを覚えています。子どもがいる同じ家庭で、何かあった時に早く帰る夫と帰らない夫がいることで、悪い噂になることがありましたが、そのようなときに、自分が出て行って、「それぞれの家庭の事情があること、みんなで支えあっていけるような家庭を築くことの大切さ」を諭すようにして雰囲気を保つようにしています。
 女性職員が多いのでキャリアアップへの意欲のある職員も多いです。後輩職員がママになって頑張っています。困った時に助けてもらえるように、普段からいろいろと話をしておいて周りの理解を得ておくことが大事であると、ママさん職員によく伝えています。
 「残業半減」については人事課から通達があり、昨年度、達成できました。残業は悪というイメージができつつあります。私は5時10分には帰ると宣言しているので、周りに浸透してきています。残業する人は事前にGoogleカレンダーで見える化しています。残業が多い人は人事課から面接をしていただくような仕組みにして、職員が一人で抱え込まないような工夫をしています。誰がどういう業務をこなしているのかを一目で分かるように工夫しています。一つの業務は主担当、副担当というチームで取り組んでいます。情報は共通フォルダーに入れて誰でも見られるようにしています。私がインフルエンザで休んだことがありましたが、自宅からのメールで仕事を進めることができました。職員も休み中でもメールをチェックするようになってしまい、このシステムの功罪もあると思っています。
 なんとなく有休をとりにくいという雰囲気はまだまだあります。有休は誰にでも公平にあるので、「有休を全部消化しよう」を今はスローガンにしています。
 自分の子どもが急に体調を崩した時、学校に迎えに行くこともありますが、職場のメンバーがそれを温かく認めてくれることに感謝しています。こうした組織からの温かい見守りが職員の組織への所属意識を醸成すると思っています。
 管理職は無理と、こつこつ一般職員で仕事をこなしている人がいますが、ちょっと手を伸ばせば届きそうな目標設定をしてほしいと思いますね。2~3年後の自分がどんな働き方をしているか、どんな自分になっているかと近い未来の夢を持ってほしいし、これからも、なんとなく相談しやすいという職場の雰囲気を作っていきたいです。課長に昇進した時、周囲の人からは「大変ですね」と言われた。「おめでとう。私もなりたい」と言ってもらえるような雰囲気づくりもしていきたいです。

面川弥生氏(東京工業高等専門学校総務課総務係長)
 事務職員30名3分の1が女性です。事務職員で育児休業を取得したのは自分が初めてです。時短制度は認めてもらえない時間があり悲しい思いをしたことがありました。良くも悪くも職場は男女平等という雰囲気です。特に当時は残業も男女平等。子どもが3歳くらいの時に仕事を遅くまでやらなければいけない時期がありました。家で子供にご飯を食べさせてから、主人とバトンタッチをしてもう一度出勤することもありました。その時期はやっていけるか不安がありました。育休1年で復帰するつもりでいましたが、諸事情で育児休業が長引き、出向の話もあったがなくなってしまいました。今後、もし、また出向等の話があれば経験してみたいと思っています。子どもが病気の時に夫と協力して休暇のやりくりができました。母親が悩みを聞いてくれたのが大きかったです。夫や母親の協力に感謝しています。
 自分の課が遅い時に、他の課は早く帰ることがあります。繁忙期に他の課からサポートがあるとよいのではと思っています。どこかの部署だけが負担がかかるのではない方策をとってもらえればうれしいです。サポートを柔軟に動かすためには、課同士の上司が調整に動いていただく必要がありますが、そのような動きが臨機応変にできるとよいと思います。部分休業を取りにくい雰囲気はありました。ダメと言われたら従うしかない風土があったのではないかと思っている。
 男性はキャリアのイメージを掴みやすいですが、女性は結婚出産などでイメージしにくいと思います。キャリアアップをしてもらうためには早いうちにいろいろな経験をさせてほしいと考えます。以前若い人のロールモデルになってほしいと上司から言われたことがありました。それから意識して次の世代を担う女性に積極的に声をかけるようになりました。自分が若い人たちに背中を見せられる存在になりたいです。周囲を巻き込み、職場全員が同じ方向を向いて仕事ができ、魅力的だと感じてもらえる職場をこれから作っていきたいと思っています。

矢野由美氏(立教女学院法人事務局長)
 係長時代に2人、課長時代に1人出産。夫が父親の介護のために家を空けていた半年は母子家庭状況であったこともありました。保育園、ベビーシッターなどをフルに利用しながら、職場の理解にも恵まれ、夫と何とか乗り切りました。病気で入院したこともありますが、仕事は何とか回っているものだと感じました。
 子育ては女性の仕事というのではなく男性も主体的に関わっていくことが大切です。老若男女、身体も弱い人もそうでない人も、みんなが無理なく働き豊かな人生がおくれるよう考えていかなければいけない世の中になっています。第4次男女共同参画基本計画では男性中心型労働慣行等の変革が第一に掲げられています。ここを変えていかなければ、女性の活躍も進みませんし、社会の発展にもつながらないでしょう。
 サポート側がいつ当事者に立場を変えるかわかりません。長い職業人生においては「お互い様の精神」が大切です。自分が病気やけがをすることも、親の介護に直面することもあります。経験者でなければなかなか想像力は働きませんから、職場で自分の事情を発信することも必要です。上司は、日頃から部下の話を聞いてあげる雰囲気をつくることが重要です。また、家族が協力し合わないと乗り越えられません。
 女性管理職を増やすためには、女性職員が若くて身の軽いうちに仕事上の様々な経験を積ませてあげることが重要だと思います。
 皆さんの職場は、学生の教育の場です。女性がいろいろなポストに就き活躍している姿を見せることは、社会人となっていく学生にとって良い教材になります。そうした教材になれるように私たちも頑張りたいと思います。
 矢野さんには、以上のようにパネルディスカッションをまとめていただきました。

【内閣府からの情報提供】

 続いて、内閣府子ども・子育て本部の参事官補佐の田口壮一氏より、企業主導型保育事業を各高等教育機関が申請する際の具体的方法についてのご説明がありました。

田口壮一氏(内閣府子ども・子育て本部の参事官補佐)

【情報交換会】

 情報交流会では、教員・職員、国公私立大学、共学・女子大学、短大、高専等の枠を越えたネットワークの構築と情報交換が進められました。その後、2日目のプログラム参加者はNWECまでバスで移動し、チェックイン後は宿泊棟ラウンジでゆったりとワインを飲み交わしながら和やかな雰囲気の中、担当する業務やその課題について共有しました。

情報交換会

【特別講義】

 2日目の最初のプログラムは、特別講演で、「ジェンダーに敏感な視座に立ったキャリア支援の必要性」をテーマに、伊藤公雄氏(京都大学大学院文学研究科教授)より学生に対する男女共同参画教育の重要性について、キャリア支援と絡めながらお話しいただきました。「ジェンダーフリー」の用語の説明として、「以前は多くの人が、『機械的に男女を同じにすること』と勘違いして捉えてしまったので、混乱を招いたことがあった。今は、『ジェンダーバイアスの撤廃』として理解されつつあるが、その理解がないと、『逆差別である』等の批判が出ることとなる。」との見解を説明され、また、「ジェンダーバイアスの問題をみんなが直視することなしに日本の問題はなくならない。若い人が就職する前に社会に出てからのジェンダー構造の実態を学ぶ機会(キャリア教育等)を与えることが重要である。特に女子学生にとっては重要で、就職してから日本社会のジェンダー構造に気づき、一気にパワーダウンしてしまうことがある。だからこそ、ジェンダーに敏感な視座に立ったキャリア支援をすることは大切である。」と大変丁寧にご説明いただきました。

伊藤公雄氏(京都大学大学院文学研究科教授)

【分科会】

 分科会では、大学における男女共同参画推進の主要な課題について、事例報告をもとにディスカッションを行い、明日からの具体的な取り組みにつながる知見を培いました。

【分科会Ⅰ】

 分科会Ⅰ「大学等における働き方改革」では、コーディネータの伊達紫氏(宮崎大学理事・副学長・清花アテナ男女共同参画推進室長)が、参加者の意見を引き出してくださいました。

 事例①は、堀久美氏(岩手大学男女共同参画推進室 准教授)から。岩手大学では、保育スペースを拡充することや子供の看護休暇の拡充など、妊娠から復帰後まで切れ目なく子育て世代を応援する次世代育成支援パッケージを次世代育成支援職員制度として導入していること、また、「両住まい制度」等を取り入れ働きやすい職場づくりを目指していることの報告がありました。学内保育所の件は、前日に内閣府から話があった企業主導型保育事業の補助を得て取組を進め、今後、実証的検証を重ね、その結果を近々報告することを考えているとのことです。

堀久美氏(岩手大学男女共同参画推進室准教授)

 事例②は、伊東昌子氏(長崎大学副学長 ダイバーシティ推進センター長)から。長崎大学は学長自ら男女共同参画に関わる事業への発信を積極的に行っており、先日も「労働時間革命宣言」を大学として初めて行ったとのことです。また、女性活躍のためには働き方の見直しが重要ということで、「働き方見直しプログラム」事業を学内で展開しています。外部からのコンサルタントに委託し、業務の無駄を削減し、時間の使い方を見直し、多様な勤務形態を見出すための働き方改革を進めているとのことです。今後、高等教育機関として、時間で評価するのではなく、成果で評価ができる仕組みを公表してくれるのではないでしょうか。

伊東昌子氏                     (長崎大学副学長、ダイバーシティ推進センター長)

 事例③は、浜本牧子氏(明治大学副学長、男女共同参画推進センター長)から。明治大学はバンカラなイメージがありますが、実は、日本初の女性弁護士を輩出する等、早くから女性教育に対する意識が高かったそうです。学長がかわった今年は男女共同参画推進に、さらに加速がかかったようです。女性研究者研究活動支援事業(一般型)に採択されたことも重なり、ホームページもリニューアルし、学内外に、男女共同参画を推進するための土壌が整ったとのことでした。出産・育児・介護に伴う支援措置を整え、広いキャンパスの多くの職員の意見を吸い上げ、これからも充実させていきたいとの話を伺いました。

浜本牧子氏                     (明治大学副学長、男女共同参画推進センター長)

 分科会Ⅰのまとめでは、会議時間の効率化をどう図るか。情報共有の見える化やメールの必要性。男性の育児参画、誰もがやるのが当たり前であるという意識。そのための、学内環境整備。トップに働き方改革の必要性をいかにして理解していただけるか。人がやることであるから教職員すべてが「お互い様意識」をもつように意識の醸成を図っていくこと等が重要であると意見が出されました。

 また、伊達氏からは、「ノー残業デーが名ばかりになっていないか。絵の中の餅にならないように、本当の意味でのおいしい栄養がある餅にしなければならない。公募をしても女性研究者は来ないということでシャッターを閉めてしまうのではなく、能力を公正に判断ができる人がいれば、女性の採用も増えるはず。家元制もやめにしませんか?そうしないとイノベーションは生まれません。突き抜けたことをしてくれれば誰でもいいという採用はできないでしょうか?人事をどのように回して、どれだけの生産性を上げるかを横断的に考えなければならない。」等の話がありました。また伊達氏は、アジア人初のノーベル文学賞受賞者のインド人詩人タゴールさんの言葉も参加者の方々にプレゼントしてくださいました。「いつの時代であっても、正しいことは、マイノリティー(少数者)の勇気あるチャレンジから始まっており、我々はその事実にもっと謙虚であり、敏感であるべきである。」

伊達紫氏(宮崎大学理事・副学長・清花アテナ男女共同参画推進室長)

【分科会Ⅱ】

 分科会Ⅱ「女子学生のキャリア形成支援」では、実際に目の前の課題をどのように解決していくかの具体策について、参加者同士意見を出し合いながら、十分話し合う時間が持てました。

 事例①は、佐伯加寿美氏(国立女性教育会館事業課専門職員)から。NWECで取り組んでいる、「女子大学生キャリア形成セミナー」の開発に至る経緯と過去3年間の取組について報告がありました。女子大学生が卒業後、離職せずに働き続けること生きることの大切さを学び、内的キャリアを高めることを目的として、取り組んできたことや学生OGが企画に参画することによって学びの循環が生まれ、お互いに刺激しあい高めあうことができるとの話がありました。

佐伯加寿美氏(国立女性教育会館事業課専門職員)

 事例②は、松橋卓司氏(株式会社メトロール代表取締役社長)から。「男性職員に『名刺に写真を入れたら』と提案したところ即断られたが、女性職員に言ったら『それいいですね』と名刺にすぐ写真を入れてくれました。採用時は特に使命感(仕事に対するミッション意識)を大切にしています。概念観(自分の言葉で話す意識)を大切にしています。採用については男性女性関係なく能力の高い人を採用する形をとっています。採用時に語学力はそれほど重視していないが、入ったからには、どんどん海外出張に出て磨いてもらうようにしています。女性社員の考えを大切にし、女性社員の活躍の場を増やすように工夫しています。また、メトロールでは職場のパーティーは就業時間帯に行っています。これも18時には終了し、家に帰れるようにという配慮をしています。」と話がありました。また、高等教育機関に伝えたいことということで、「大学では論文を書くこと等、個人作業が多いので、チームプレイで仕事をする経験を積むことがなく卒業する。海外の学生を見ると、幼く感じる。大学でもチームプレイで活動できる場をたくさん作ってほしい。」とのことでした。メトロールでは17名採用中7名が退社をしている現状があり、そのうち3名が結婚を機に退社をしていて、まだまだ、男性に依存する形の女性が多いことは確かだそうです。社内でリーダーとなって働いてくれる人材がもっともっと増えてくれることを願っているそうです。

松橋卓司氏(株式会社メトロール代表取締役社長)

 事例③は、中谷敬子氏(大阪府立大学工業高等専門学校准教授)から、大阪府立大学高専女子チームROSEの実践を例に、内的キャリアを重視することの重要性や、自律型キャリア支援の在り方についてわかりやすくご説明いただきました。キャリア意識を高めるためには、自らしっかりと考え納得の上に決断し、その選択したことに責任を持てることが大切であるとのお話しに、参加者も納得をされていました。生徒や教員は、キャリア意識を持つことに高い関心をもつ人が少ないことも多く、日々悩みながら、取組を進めていらっしゃることが伺えました。

中谷敬子氏(大阪府立大学工業高等専門学校准教授)

 3名からの報告を聞いた後、分科会Ⅱは、4~5人組の少人数グループに分かれてディスカッションを行い、参加者それぞれが抱える問題の共有と解決に迫りました。参加者からは、「企業との連携プログラムを作りたい。」「男女共同参画の授業を単位に取り入れたらどうか。」「学生に長期的なスパンでキャリアを考えさせるための支援体制の構築をしていくことの重要性を感じた。そのために実現させていく仲間を作ることが大切である。」「学生が考える前に支援者である自分たちが考えてみよう。」等、各機関の戻ってからの行動計画や目標が立てられました。

【感想】

 3日間を通して、参加者からは以下のような感想をいただきました。

  • 「どのプログラムも具体的な取り組みや課題が聞けてよかったです。外を知ることは我が身を知ることにもなる。この雰囲気を肌で感じられたことがよかったです。」
  • 「大学における男女共同参画の推進は、次世代の女性育成に携わる女子大学や教員として最も関心がある課題である。2日間のセミナーを通して、多くの学びがありました。」
  • 「ダイバーシティということを考えた時には、女性のイキきやすさということは現状多くの課題があると思うが、誰もが互いにイキやすい環境づくりをしていけたらと思います。」
  • 「本学は男女共同参画については遅れをとっています。全国からの男女共同参画担当者が集まり、様々な知見を学ぶことができました。これから本学でも制度を策定するにあたり、多面的に取り組み、意識改革を進めていきたいと思いました。」
  • 「事例発表やディスカッションから多くの有益な情報を得ることができました。いろいろな方とのネットワークができたのが財産になりました。」

 今回の研修に参加された大学等の担当者の方々が、ここで得られた知見やネットワークを活用して、各機関の男女共同参画の推進に取り組まれることを期待します。

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