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コラム

「 ジェンダー平等法制の新しい動き 」 林陽子 

林陽子 弁護士/国連女性差別撤廃委員会委員

 ジェンダー平等先進国と言われる国は、日本と何が違うのだろうか。国連の女性差別撤廃委員会では、締約国の国家報告書審査が行われるが、2017年11月に行われたノルウェーの動きが、今後のあり方を示唆していると思われるので、ご紹介したい。
 ノルウェーではこれまで、ジェンダー平等法、性差別法、民族差別法、差別およびアクセスに関する法律といった4つの平等法制が、歴史的な理由から併存してきた。政府はこれを統一して1本の法律にまとめ、2018年1月から包括的な「平等および反差別法」が施行される。新法は差別の理由として「ジェンダー、妊娠、育児休暇、子育てその他近親のケア、民族、宗教、信条、障害、性的指向、性自認、性に関する自己表現、年齢およびこれらの根拠の複合」を明示し、これらの差別に関する苦情を受け付ける審判所が設立される。
 このようなノルウェー政府の動きに対しては、包括的な平等法を歓迎する声と、ジェンダー平等に関する独立の法律がなくなったことへの懸念の双方の評価があり、成果は今後を見守らなければならない。
 日本では近年、「女性活躍推進」が政府の主要な政策として展開されているが、2017年11月に公表された「世界経済フォーラム」による日本のジェンダーギャップ指数は、144か国中114位(2016年は111位)と順位を下げた。同指数で世界2位のノルウェーは、「男女間の差別」からさらに踏み込み、妊娠や育児・介護休暇を理由とする場合も含んだ包括的な差別禁止立法へと法律を発展させている。強力な苦情処理機関がその実効性を支える仕組みも日本には参考になる。

*ジェンダーギャップ指数とは、民間団体である世界経済フォーラム(本部・スイス)が公表する男女間の格差に関する指数であり、政治・経済・健康・教育の4分野の数値を比較し、国別ランキングとして公表がなされている。

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