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平成20年度NWEC男女共同参画プログラム
「近代文学に見る夫婦関係、男女の愛と葛藤」 ―漱石と鴎外、晶子と登美子―
国立女性教育会館では、平成21年2月20日(金)〜21日(土)に、大東文化大学名誉教授の渡邊澄子氏を講師として迎え、NWEC男女共同参画プログラム(第3回)「近代文学に見る夫婦関係、男女の愛と葛藤」を実施し、定員を超える58名の皆さまにご参加いただきました。
| 1日目(2月20日) |
【開会】
開会にあたって主催者を代表し、国立女性教育会館竹内美佐子事業課長よりあいさつを申し上げました。
【講義・グループ討議「夏目漱石と森鴎外」】
まず、今回取り上げる漱石と鴎外が活躍した明治時代における女性のあるべき姿や女性観がどのようなものであったのかについて、「三従七去」「女の五疾」と言った言葉を手がかりに説明されました。
その後、自他の尊重に目覚めた漱石と、当時の価値観を持ち続けた鴎外という対象的な二人の文豪の略歴、人となり、価値観、そして夫婦関係を作品の概要とともに追いました。
代々続く御典医家の長男として生まれた鴎外の生い立ち、ドイツ留学と、『舞姫』『雁』『半日』、そして約20歳年下の妻しげの手による『波瀾』を取り上げ、鴎外の女性観、妻と姑との葛藤、妻を「美術品」扱いする鴎外としげとの価値観のすれちがいを学びました。また鴎外の意外な一面として「青鞜」の紅吉(尾竹一枝)との出会いと交友関係についても話がありました。
次に漱石について、五男として生まれてすぐ里子に出され、その後また夏目家に戻るという生い立ちや、当初持っていた明治の男性としての価値観が妻鏡子との生活の中で変化し、次第に人間平等に目覚めていくことなどについて説明がありました。
写真1 講師の渡辺澄子氏
【講義・グループ討議「与謝野晶子と鉄幹、鉄幹と山川登美子」】
晶子の生い立ちから、商家の娘として厳しく育てられたことや、その後歌の道に入るきっかけとなった弟の存在を知りました。結婚後、次第に落ちぶれていく鉄幹に対し、多くの子どもを産みながら短歌だけでなく小説、随筆、批評、児童文学や古典現代語訳など多分野で精力的に活躍し家計を支えた晶子。そして鉄幹を恋いながらも許嫁と結婚した山川登美子。この3人それぞれの人生、長引く三角関係を作品を鑑賞しながら考えました。また、晶子の作品の特徴は“まことの心”、そのエネルギーの源は恋に恋する気持ちであるという説明がありました。
写真2 講義に聴き入る参加者
【会館所蔵の関連図書の紹介】
講義の後は国立女性教育会館女性教育情報センター所蔵の関連図書の紹介、図書や記事などの検索方法についての説明を行いました。
写真3 図書や記事等の検索方法についての説明
【夕食会】
夜は、講師の渡辺澄子さんを囲んでの夕食会を行いました。自己紹介や歓談などを通して、参加者と講師との、そして参加者同士の親睦を深めました。参加者からの質問や意見に対して渡辺氏が答える時間も取り、話題は近代文学のみならず、社会情勢などにも及びました。
| 2日目(2月21日) |
【ヌエック施設案内】
2日目の朝、会館スタッフの引率により、平成20年6月にオープンした女性アーカイブセンター展示室、音楽室や調理室、日本家屋の響(ひびき)書院などを見学し、会館内の豊かな自然、冬の日本庭園を散策しました。
写真4 響(ひびき)書院 写真5 敷地内を散策する
【講義・グループ討議「文学者たちの夫婦・男女関係―時代を超えて見えるもの」】
まとめとして、文学者たちの夫婦・男女関係について、時代を超えて見えるものについて講義がありました。
まず前日の補足として、漱石が鏡子との生活の中で人間平等と自他の尊重に目覚めていく様子を『吾輩は猫である』、『虞美人草』、『行人』、『道草』、未完成の『明暗』などの作品を読み解きながら確認しました。同時に悪妻と言われた鏡子の実像、鏡子への漱石の温かい眼差しが作品に表れていることに注目しました。
続いて、カナダのマーガレット・アトウッドの小説『食べられる女』、そして苦しみながらも文学界で活躍した多くの女性たちの例をヒントに、現代の女性の生き方について考えました。
最後は、女性が自分の中にある力を発揮し自己実現するためにはチャレンジが大事だという渡邊氏の熱いメッセージで締めくくられました。
写真6 講義をする渡邊氏
<グループ討議・発表>
グループ討議では、「人間として尊重し合うことがやはり大切」「文学者たちの話を聞いて参考になることはこれからの自分の生活の中で実践していきたい」「生き方が素敵だと言われる人になりたい」などの意見が出ました。
参加者の皆様のアンケート結果によると満足度は93.8%と高く、「文学作品をささえる作者の人間性を知ることが出来た」「講師の熱弁に感動した」「参加者との意見交換もとても良かった」などのご意見をいただきました。