
Top › 事業紹介 › 学習支援 › 平成19年度学習支援等 › 「文学に描かれた人間・男女・夫婦関係−夏目漱石と島尾敏雄」実施速報
平成20年3月21日(金)〜3月22日(土)の1泊2日で、NWECプログラムinらんざん「文学に描かれた人間・男女・夫婦関係 −夏目漱石と島尾敏雄」を実施しました。22名(全員女性)の皆様にご参加いただきました。
今回のプログラムでは、1日目に国立女性教育会館の神田理事長から「人間関係づくり −男女共同参画社会を目指して」において、男女共同参画社会の実現には、男女が共同で参画して社会を創ると同時に、「関係」が重要となる。自分と他を尊重する「自他の尊重」が重要であり、自他の尊重を実現するためには、関係をつくり、力を合わせ、支え合う関係や、自立(律)し、能力を発揮し合い、社会参画をすすめ合う関係が重要であるとの説明がありました。
続く、グループワークでは、参加者が5名ずつのグループに別れ、人間関係づくりの第一歩として自己紹介を行いました。
講義「夏目漱石が求めた人間関係、自他の尊重」では、講師に大東文化大学名誉教授の渡邊澄子氏をお招きし、夏目漱石の生い立ちや妻鏡子との関係、あるいは漱石の作品を通して、漱石が追及した人間関係について学びました。
自分が生きたい生き方をしたいのであれば、相手にも生きたい生き方があるはずであり、それを尊重しなければよい関係は作れない。夏目漱石作品には、夫が妻との相互理解の困難から、妻も独立した人格だという認識に至り、真に平等な人間観を築くことの大切さ、その至難な業は温かい血の通い合う関係をつくるために相互に努力していくしかないだろうという自己の尊重とともに相手も尊重・理解しようとする態度が見られ、明治期の男性の中では非常に先進的だとのお話しをいただきました。
グループ討議においては、講義を聞いた感想・意見を述べ合いました。自己紹介の後ということもあり、参加者同士で活発な意見が交わされました。
2日目講義「島尾敏雄『死の棘』に見る夫婦関係」では、講師の渡邊澄子氏から、これまで「泡立ち、逆巻いてやまない妻の魂を鎮めるための鎮魂の書」「極限の夫婦愛物語」と評価されてきた「死の棘」について、戦時下における極限状態を経験した後の、戦後の家族の姿を読み解き、この小説には夫の自己弁護的な姿があるとともに、良妻の域を抜け出せない妻の姿も見られるとの指摘がありました。このことから、逆説的に、明治期の漱石がいかに先進的であったかがわかるという渡邊氏のお話をもとに、参加者同士のグループ討議や参加者全体の意見交換が活発に行われ、男女・夫婦のあり方を深く理解することができました。講師の渡邊氏には、2日間にわたりグループ討議等に積極的にご参加いただき、充実したプログラムとなりました。
講義中の渡邊澄子氏
熱心に講義に耳を傾ける参加者の皆様