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男女共同参画のための研究と実践の交流推進フォーラム実施報告

「男女共同参画のための研究と実践の交流推進フォーラム(NWECフォーラム2010)」実施報告

 国立女性教育会館では、8月27日(金)〜29日(日)の3日間、「男女共同参画のための研究と実践の交流推進フォーラム(NWECフォーラム2010)」を開催しました。
 このフォーラムは、「女性のエンパワーメントと男女共同参画社会づくり」をメインテーマに掲げ、一人ひとりが自らの意思で社会に参画し、男女共同参画社会の形成に向けて、成果や課題を明らかにするためや、課題解決の手がかりをつかみ、地域での実践活動に活かしていただくため、“研究”“学習”“実践”を結び、交流推進を支援する場として毎年実施しているものです。
北は北海道、南は沖縄まで全国各地より集った1400名を超える参加者が熱心に学び、交流する3日間となりました。
 詳細は以下の通りです。

《シンポジウム》
「未来へのメッセージ〜男女共同参画社会への展望 一歩先に進むための関係づくり〜」
 シンポジスト:奥山恵美子 仙台市長
        西郷真理子 株式会社まちづくりカンパニー・シープネットワーク代表取締役
 シンポジスト・コーディネーター:
        廣瀬 隆人 宇都宮大学生涯学習教育研究センター副センター長・教授
 女性の地域への参画を通し、今後の男女共同参画社会に向けての展望や、参画を進めていくための関係づくりについて、シンポジストの皆様より実践を踏まえたお話をいただきました。奥山氏からは、主に意思・施策決定の場への女性の参画が社会で不十分な中、首長として仙台市で取り組んでいることや、市民活動が活発な仙台市の女性の事例などをお話しいただきました。西郷氏からは、都市プランナーとして、地域の歴史を活かし、住み心地のよいまちづくりのためには、生活者の視点が必要なことや、そのため女性がまちづくりにかかわっていくことが大切であるということを、国内外の事例を通してお話しいただきました。コーディネーターの廣瀬氏からは、「参画」とはどういう形を具体的にいうのか、「協働」を市民主体で進めるためにどのような努力が必要かなど、お二人に質問しながら、テーマに迫る話を引き出していただきました。その上で、市民が地域づくりへ参画していくためには、「地域をつくるプロフェッショナルとしての市民のエンパワーメント」「協働していく相手とNOが言える関係をつくっていく」「生活者の視点を取り入れていく」ことなどが重要ではないかと話されました。
 最後に西郷氏からは、「経済対策の地域づくりから、生活スタイルをブランド化した地域づくりへ。そこに女性の活躍が入ると素晴らしい」というメッセージを、奥山氏からは、「市民活動を横に広げる、そこから得たことを現場間でもつなげ、行政の一歩先を照らしながら、提言していただくことを期待している」というメッセージをいただきました。
シンポジウム2
廣瀬氏奥山氏西郷氏
【写真 上:シンポジウムの様子、下左:廣瀬氏、下中:奥山氏、下右:西郷氏】

《テーマワークショップ》
 「男女共同参画基本計画」(第2次)を参考に設定した、以下の5つのテーマに沿った
ワークショップを、期間中6回にわたり実施しました。
 ―性のキャリア形成への取組
 ▲錙璽・ライフ・バランス
 0汰粥Π多瓦斑暴共同参画
 っ楼茲粒萓化と男女共同参画
 ッ暴共同参画の拠点作り

 全国から応募のあった58件のワークショップでは、それぞれの日頃の研究や実践についての報告や、会場の参加者との協議などが行われました。少人数ならではのテーマを絞った情報交換、ワークを取り入れた実践的な学び、多様な表現による発表、多数の参加者を得てのシンポジウムなど、それぞれの目的に沿った積極的な取組が展開されました。運営者からは、「参加者間の交流を通じ、連帯を強め、今後のネットワークづくりにつながる関係が得られた」、「様々な意見が出て活発な議論ができました」、「今後自分たちが考えていかなければならないことが、よりはっきりしてきた」等、ワークショップの実施が、今後の活動の役に立ったという感想をいただきました。
 今年度も文部科学省提供のワークショップがあり、国の施策に基づいた具体的な取組事例が報告され、好評を得ました。
 また、若い世代が運営に関わるワークショップもあり、世代間の意見交換が行われたことも今年度の特徴のひとつでした。
展示WS文科省
【写真 左:展示ワークショップ、右:文部科学省ワークショップ】

《会館提供ワークショップ》
 国立女性教育会館が、テーマに沿って交流推進委員と会館職員が協働で企画したものと、会館の資源を元に企画したものを、会館提供ワークショップとして、7件実施しました。

  (N1)「社会人大学院と生涯キャリア―研究と実践を考える−」
   交流推進委員:渋谷典子 特定非営利活動法人参画プラネット代表理事・名古屋市
                   男女平等参画推進センターつながれっとNAGOYAセンター長
   事例提供者 :伊里タミ子 瀬戸市男女共同参画推進委員・瀬戸市地域包括支援センタ−
                   運営協議会委員
            有満保江 同志社大学言語文化教育研究センター教授
    *女性のキャリア形成は、直線的ではなくいくつかの異なる領域に「越境」しながら形成される
     という視点より、社会人大学院生の事例を通して、学習と実践をつなぎ形成されるキャリアの
     あり方について意見交換を行いました。

(N2)「世代を超えて紡ぐ理系女性のキャリアデザイン」
   交流推進委員:野呂知加子 日本大学准教授
   事例提供者   :刑部南月子 お茶の水女子大学大学院博士前期課程2年・女子中高生
                     夏の学校学生企画委員
              喜多 和  日本工営株式会社電力事業本部技術士・
                     WPETF(技術者を目指す女子学生を支援する会)会員
             佐々木政子 東海大学名誉教授・日本化学会男女共同参画推進委員会
                     委員長・前日本女性科学者の会会長
     *「女子中高生夏の学校」での、学生、大学院生、研究者などの関わりから、理系進路
      選択について伝える取組、技術サロンを通じて女性技術士が懇談の場を持つ取組、日
      本女性科学者の会が若手研究者育成のために行ってきた実践等、理系女性研究者の
      次世代育成に関わる活動を紹介した。その後、世代を超えてキャリアデザインを紡ぐこと
      を話題に協議が展開されました。

(N3)「これからの男性のワーク・ライフ・バランスを考える―老若男女が自分らしく生きるために−」
   交流推進委員:萩原なつ子 立教大学教授
   研究発表者 :土堤内昭雄 (株)ニッセイ基礎研究所主任研究員
   事例提供者 :滝口 直樹 独立行政法人環境再生保全機構石綿健康被害救済部
   事例提供者 :武藤 良太 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科博士課程後期
     *男性の育児休業取得率、長時間労働等の現状を踏まえ、これから家庭を持とうとする
     若い世代とワーク・ライフ・バランスを実現している先輩男性との対話によって、これからの
     ワーク・ライフ・バランスのあり方について考え合いました。

(N4)「人身取引の根絶に向けて―地域での教育・啓発プログラムの企画と実践―」
   交流推進委員:吉田 容子 弁護士・立命館大学教授
   研究発表者 :齋藤百合子 明治学院大学国際学部准教授
   事例提供者 :百瀬 圭吾 てのひら〜人身売買に立ち向かう会代表理事
   会館の取組 :渡辺 美穂 独立行政法人国立女性教育会館研究国際室研究員
    *地域や若者を 対象に行っている事例や会館の研究報告を基に、人身取引問題について
    より広く伝えていくための方策を参加者と共に考えました。
     「女性」や「男性」、「学生」や「行政」、「家族や身近な人」、などの対象別に、この問題を取
    り上げる際の留意点や工夫についてグループワークを行いました。人々が見ないようにしてい
    る事実をいかに取りあげていくのか、どのように自分の問題として気づいてもらうのか、メディ
    アの活用や行動に結びつけるための方法など、熱心な討議が行われました。

(N5)「地域コミュニティの再生〜食を通して職をつくる、地域をつくる〜」
   交流推進委員:西山恵美子 独立行政法人国立女性教育会館客員研究員
   研究発表者 :上野 勝代 神戸女子大学家政学部教授
   事例提供者 :紀平 容子 NPO法人高齢社会の食と職を考えるチャンプルーの会代表
            新井 純子 合同会社ヘルシーカフェのら合同社員・市民活動グループあれあ
                    れあ代表
    *子育て支援や地域の人々の交流のきっかけの拠点としてのコミュニティカフェについての
    事例、空き店舗を利用した、地域の高齢者への配食サービスや居場所づくりの事例、をもと
    に、地域における社会的起業の意義や役割について考え合いました。これからの地域コミュ
    ニティ再生に向け、女性の地域参画のあり方についても認識を深めました。

(N6)「これからの情報発信を考える〜つなぎ・支援するインターネット活用〜」
   交流推進委員・施策説明者:青木 玲子 独立行政法人国立女性教育会館客員研究員
   研究発表者・コメンテーター:安達 一寿 独立行政法人国立女性教育会館客員研究員
   事例提供者         :牟田 和恵 大阪大学教授・女性をつなぐ総合情報サイト
                            「ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)」運営委員
                    小園 弥生 財団法人横浜市男女共同参画推進協会事業企画課
                    森 未 知 独立行政法人国立女性教育会館情報課専門職員
     *次々と新しい技術による情報サービスが提供されているインターネットでは、男女共同
     参画に関する情報は、どのように集め、発信されているか、そしてその情報は必要とする
     人に届いているのか。現状を確認し、男女共同参画の拠点としての女性/男女共同参画
     センターのこれからの情報発信について考え合いました。

(N7)「地域づくりと男女共同参画統計」
   施策説明者 :伊藤 彰彦 (財)統計情報研究開発センター理事長・元総務庁統計局長
   研究発表者 :杉橋やよい 金沢大学准教授・独立行政法人国立女性教育会館客員研究員
   事例提供者 :田邉 知子 三重県男女共同参画センター専門員
   森 未 知 独立行政法人国立女性教育会館情報課専門職員
     *男女共同参画に関わる問題を統計によって明示し分析するとともに、解決策を立案、
     政策の進捗状況を監視しようとする統計理論と活動分野である、男女共同参画統計
     (ジェンダー統計)の理解を深め、日本の男女共同参画を進めていくためにはどのように
     活用すればよいのかを考え合いました。

会館WS1会館WS2
会館WS3会館WS4
会館WS5
【写真 テーマワークショップの様子】

《情報のひろば》
  様々な図書や報告書などの成果物の頒布や、チラシなどの広報物の提供を通じて、情報を交換する場となりました。期間中、1900名あまりの行き来があったということで、参加者の関心の高さがうかがえました。

《さんかくカフェ》
 コーヒーや紅茶、軽食をとりながら交流できる場として、ワークショップの合間は多くの人が訪れました。交流推進委員を通じて情報を得る参加者の姿も見られました。
フォーラムに向けての参加者のメッセージを、枝を広げる大木の葉の形に掲示し、メッセージが広くつながる様子に関心を示す参加者も多かったです。
 〜メッセージより〜
 「初めて参加しました。どのワークショップも興味深くて勉強になりました。男女共同参画の樹が実り豊かなものになるよう、がんばります」
 「こうして毎年ネットワークが広がっていく。とてもステキです。男女共同参画の樹を育てるための、お水と太陽をたくさん注ぎましょう。元気になりました。」
 「北京+15 女性のエンパワーメントの地域からの積み重ねをこれからも。ともに支えながら。」
 「昨年に続き参加しました。スタッフの皆さんの心からのおもてなしと、昨年お友達になった方との再会が楽しみ」
 「ヌエックでの学びと経験を少しずつ実らせたいと思います。ここに来るたび、反省とやる気力をもらえます。皆さんとのひとときを大切にします。

《ヌエックマルシェ》
 今年度新たに設営しました。比企地区の女性起業家による地産地消品の紹介と販売、ユニフェム国内委員会が行う国際貢献に関する情報提供等を行い、顔の見えるつながりをつくることをめざしました。

《交流推進プログラム》
 ワークショップの合間に、様々なプログラムを行いました。「モーニングアクティビティ」では、施設案内、しおりづくり、体操を行いました。「アフタヌーンコンサート」では、地域の高校生による発表や、音楽グループによる発表を行いました。「ナイトレクチャー」では、歌、踊り、お茶、工作、アロマテラピーなどのメニューを用意し、交流しながら楽しむ様子がうかがえました。

情報のひろばさんかくカフェ
ヌエックマルシェモーニングアクティビティ
【写真 上右:情報のひろば、上左:さんかくカフェ、下右:ヌエックマルシェ、下左:交流推進プログラム の様子】

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